海運大手の商船三井が、二酸化炭素を出さずに航行できる”ゼロエミッション船”の実証実験を16日、報道陣に公開しました。

公開されたのは、ヨットタイプの”ゼロエミッション船”です。

風で走る推進力を利用して水中で発電タービンを回し、発生した電気で水を分解して水素をつくります。

商船三井を中心としたプロジェクトチームでは、今回、水素を貯めるのに”MCH”という液体を使って 実験を始めました。

フレイン・エナジー 小池田 章 社長:
「一旦 液体に変わることで、水素を常温・常圧で何年、何十年と変わらなく貯めておくことができる。”安定化”させることができる」

塗料などの原料となるトルエンに水素を溶かし込むと”MCH”になります。

この船では、MCHから取り出した水素で電気を発生させ、動力源にすることで二酸化炭素を出さずに航行することができます。

商船三井 技術研究所 島 健太郎 所長:
「これが”水素添加装置”と”脱水素装置”です。水素とトルエンを化学反応させて”MCH”をつくる。これがMCHのタンクですね」

風の力で水素を作り、MCHに貯めたり出したりする”ゼロエミッション船”の開発は世界初の試みだということです。

商船三井 山口 誠 執行役員:
「こういった実証実験を通して、いろんな方がGHG(温室効果ガス)を減らす、こうやったら”ゼロエミッション”になるんだと、全員で夢の”ゼロエミッション船”を作り上げていこう」

カーボンニュートラルにもつながる、環境に優しい船の実現を目指して──
開発チームでは、2年後には60メートル級の船での実験に取り組みたいとしています。