新型コロナの影響などで運休していた、対馬と韓国を結ぶ国際航路が今週末から3年ぶりに再開されます。
かつては年間40万人もの韓国人観光客でにぎわった対馬。
地元関係者は、かつての“賑わい”が復活するのではという期待の声も聞かれますが、“制限的な航路再開”で経済効果は限定されるという声も…。
韓国・釜山からの船が入港する対馬市上対馬町の比田勝港。
土日の1往復で100人上限での再開 初日は“満席”
記者:
「3年ぶりの韓国航路再開を4日後に控えた比田勝港国際ターミナルです。中では韓国人観光客を受け入れる準備が少しずつ進められています」
対馬ー韓国航路は、今月25日から韓国の2つの船会社が『土日のみ1往復ずつ運航』します。

当面は乗客数を最大100人までとしていて、対馬市によりますと、再開初日の便はすでに予約で満席だということです。

ターミナル内の観光案内所では、3年前の情報のままだった韓国人向けの掲示物やパンフレットの情報を更新する作業が行われていました。

対馬観光物産協会上対馬事務所・イ・キョンジンさん
「バスの路線図とか、この辺の飲食店とか色々変わっているので、営業時間とか定休日とか、いろんな情報を更新しております」
2018年は40万人利用 日韓関係の悪化・新型コロナで──

対馬ー韓国航路は1999年に就航し、ピーク時の2018年には40万人を超える韓国人が利用。

しかし翌年の日韓関係悪化を機に利用者が減少し、その後の新型コロナ感染拡大で2020年3月から運休を余儀なくされていました。
3年ぶりの運航再開を前に、地元の飲食関係者からは『かつての賑わいが戻ることを期待する声』が聞かれました。

みなと寿し 武末 智彦さん
「嬉しいですね、やっと待ちに待ったというか。コロナ前が “バブル”みたいな感じだったんで、そこまでは受け入れる体制としても厳しい部分があるので、その時の半分、3分の1でも期待はしています」
一方で冷静な見方も──カギ握る “個人客”
ガソリンスタンドや釣り具店などを営む今村純一さんは、運航再開はまだ限定的で、ツアー客が中心になると予想されることから、『個人客相手の業種が恩恵を受けるのはまだ先』になるのではないかと見ています。

今村商店・今村純一さん
「団体ツアー客に限定されるということで、わが社はレンタカーをしているんですけども、そのレンタカーはもうちょっと先なのかなと。
お客様の数が制限なくなると“船の運賃も安く”なって、色々な個人のお客様も来やすくなるのではないかなと思います」
また、地元の宿泊関係者からも「個人客が増えて来なければ小規模な宿泊施設にとっては経済的な効果は小さいのではないか」といった声があがっていました。
まずは満員御礼で運航再開を迎える対馬ー韓国航路。コロナ禍で規模を縮小したり撤退した事業者もある中、今後の増加が見込まれるインバウンド需要をどの様に取り込んでいくかも受入側の課題になりそうです。
運航再開は今月25日です。
国際クルーズの再開 新型コロナへの対策は
2020年4月を最後に入港がストップしている長崎港では、現在、複数の船会社から『3月の受け入れ要請』がきているということです。

国際クルーズ船の運航について2022年11月、国は『感染症対策を踏まえたガイドライン』をまとめました。

● 氏名や連絡先を下船後 少なくとも14日保存するよう 受入側がクルーズ会社に要請すること
● 店舗や食品販売などについては 利用者の列で 人と人とが触れ合わない間隔となるよう調整すること
● 船内で感染者が確認された場合に備え、受入側の関係機関と情報共有できる体制の整備や、夜間・休日も含む日本語対応が可能な連絡先を共有しておくこと
● ターミナル周辺のバス・タクシー乗り場について、クルーズ会社に下船時間の分散などを要請することなどが挙げられています。
なお、新型コロナが5月8日からインフルエンザなどと同等の5類に引き下げられるのに合わせ、国交省は「ガイドラインの内容は適宜、見直す」としています。