2012年に、長崎県対馬市の寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像をめぐる裁判で、韓国の高等裁判所(二審)は、「韓国の寺が本来の所有者」と認定した一審の判決を取り消し「仏像の所有権は日本の寺にある」と判断しました。

この裁判は、2012年に対馬市の観音寺から盗まれた長崎県の有形文化財『観世音菩薩坐像』を巡って、韓国の浮石寺が「中世に日本の海賊が強奪したものだ」として、返還のため仏像を保管していた韓国政府に対し、本来の所有権を主張しているものです。

一審では「正常ではない過程を経て日本に渡った」として浮石寺の所有権を認め、韓国政府に仏像の引き渡しを命令。

しかし、二審の大田高裁は 1日の判決で一審の判決を取り消し、所有権は日本の観音寺にあると判断しました。

対馬市の観音寺の当時の住職は、判決内容を歓迎したうえで、改めて仏像の早期返還を求めました。

観音寺 田中 節孝 前住職:
「ありがたいということです。願ってた通りになって。それを韓国の司法が認めてくれたと。
単純な窃盗事件が(返還に)どうして10年もかかるのか。そうなった以上、一刻も速やかに観音寺に返却願いたいと」

一方、浮石寺側は判決に対し「勇気ある大韓民国の判事がいたらどうだっただろうかという残念な気持ちを持っている」とコメントし、上告する方針です。