空手経験者の一方的な暴力
長崎地裁の太田寅彦裁判官は判決の中で、被害者である兄のけがは、被告の男の暴行により生じたものであることは明らかだとした。さらに、量刑の理由については以下のように述べた。

判決より:
「各犯行の暴行の態様は、殴る、蹴るというもので凶器を使用するなどはしていないが、空手の経験もあり、力の上では勝っている被告人が、無抵抗な被害者に対して一方的に暴力を反復している点で悪質であり、常習性も認められる」
粗暴さ、執拗さ、衝動性が際立っている
判決より:
「警察官に病院内への立ち入りをとめられたにもかかわらず、再び実兄が経営する病院に押しかけた上での犯行であって、その態様の粗暴さ、執拗さ、衝動性の高さは際立っている」
「背景には親族間のいさかいがあり、一部の犯行場面では、お互いの感情のもつれから言い合いになったことで、被告人が激高して暴行に発展している状況も見受けられるものの、家族内であるとはいえ、暴力を繰り返すことが正当化されることにはならない」
判決ではさらに、男に真摯な反省を見てとることはできない、自己の責任を自覚させるとともに、再犯の防止をはかる観点からも、実刑の選択はやむを得ないとして、懲役2年6カ月の求刑に対し、懲役1年2カ月の実刑判決を言い渡した。
判決が言い渡され、退廷する際、男は法廷内に響き渡る大きな声で言った。 「控訴はしないです!」 その顔は、最後まで笑顔のままだった。








