山口県下関市の市長が、被爆地の広島と長崎を訪れることを「お悔やみトリップ」と発言したことについて、長崎の被爆者からはとまどいの声と共に原爆被害の軽視を指摘する声が上がっています。
問題となっているのは、山口県下関市の前田晋太郎市長の発言です。
「広島まわって長崎行って、四国でお遍路まわって、なんかこう『お悔やみトリップ』じゃないけれどもね」

これは、今月19日の下関市議会の一般質問で、大阪・関西万博に向け、関西以西に外国人旅行客を呼び込む方策をきかれた前田市長が、複数の都市でストーリーをつくり誘致する案を挙げ、その例として発言したものです。
山口県下関市前田晋太郎市長:
「『トリップじゃないけれども』というのは、結局適切な表現ではないけれども、そういう意味合いでと。決して軽んじて揶揄をするようなつもりは微塵もなかったと」
この発言に対し、長崎の被爆者団体のひとつ、長崎被災協の田中会長はとまどいの表情をみせています。

長崎原爆被災者協議会 田中重光会長:
「呆れるというかな。その程度しか原爆のこと、核兵器のことを考えてないのかなと思いますね。四国のお遍路と結びつける。それ、結びつかないと思うんですよね。誤解を招くということで、やっぱり撤回した方がいいんじゃないですか。潔く」
前田市長は、「軽はずみな表現で関係者の皆様を傷つけてしまい、深く反省している」と述べた一方、趣旨は変わらないとして発言の撤回はしませんでした。