長崎に原爆が投下されてきょうで77年です。
世界が核兵器使用の危機にさらされるなか、平和祈念式典で核兵器廃絶の願いが発信されました。


(爆心地に近い浦上天主堂の鐘の音)
夜明けと共に、原爆犠牲者に祈りを捧げます。
77年前、この地で炸裂した人類史上2発目の原子爆弾は、その年だけで7万4千人もの命を奪いました。

被爆者・森内照子さん(91歳・三ツ山で被爆):
「罪のない者をね、一瞬にしてもうほんとに哀れなもんでした。ああいうことはもう二度とあってはいけませんね。」

森 正二さん(82歳・おじ家族8人が爆死):
「もう絶対ダメですね、禁止ですね。長崎で最後ですよ。(核兵器を)世界に拡げたらいけないと思います。戦争はしてほしくないです」


今年の平和祈念式典は、先月の安倍元総理銃撃事件を受け警備が強化されたほか、新型コロナ対策で参列者の数を例年の4割に制限。
被爆者や、遺族、政府関係者、過去最多となる83か国の駐日大使らが参列しました。

被爆者の平均年齢は84歳を超えました。
被爆者の合唱団「ひまわり」も高齢化のため、式典への出演は、今年が最後。
思いの全てを届けます。

♪「もう二度と作らないで わたしたち被爆者を この広い世界の人々の中に」
作詞・作曲:寺井一通
(拍手)

式典では、この一年に新たに死亡が確認された原爆死没者 3,160名が記された名簿が奉安されました。

午前11時2分──
「黙とう」

平和宣言では『ロシアによる核の威嚇』に触れ、核兵器をなくすしか、そのリスクから逃れる道はないと訴えました。

長崎平和宣言 田上 富久長崎市長:
「(核兵器を)持っていても、使われることはないだろうというのは、幻想であり期待にすぎません。
『存在する限りは使われる』核兵器をなくすことが、地球と人類の未来を守るための唯一の現実的な道だ ということを 今こそ私たちは認識しなければなりません。
日本政府と国会議員に訴えます。唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約に署名、批准し、核兵器のない世界を実現する推進力となることを求めます」

一方、岸田総理は、あいさつの中で核兵器禁止条約について触れることはありませんでした。

被爆者代表の宮田 隆さんは、対話による平和外交こそ新たな時代への挑戦だと訴えました。
平和への誓い 被爆者代表 宮田 隆さん(82):
「核共有論は、『力には力』の旧来の核依存思考であり、断じて反対です。
今こそ日本は、核の傘からの価値観を転換し、平和国家の構築に全力を挙げるべきです」

宮田 隆さん:
「日本の出番ですよ。頑張ろうぜってことを言ったつもりだけどね。今からですよ、今から本チャンが始まる」
核をめぐる情勢が不安定に動いている今、人類は、どのような道を選び、どんな世界に向かうのか──正念場の被爆77年です。