■ survivor(生きのびた人)は HIBAKUSYAだけではない

宮田さん「ヒバクシャ!」
(白いビブスに" HIBAKUSYA! NAGASAKI Any Question?" = 長崎の被爆者です。質問はありますか?と書き込む宮田さん)

核兵器禁止条約 第一回 締約国会議に合わせ、このビブスを着て現地を歩き、被爆の実相を広く知ってもらおうと考えた試みです。
そしてこの試みがきっかけで、宮田さんの ”怒り” の心境は変化することになります。


(ビブスを着用し、ウィーンの街に立つ宮田さん)
宮田さん「よし!」
スタッフ「グッド」「グッド」
宮田さん「ハウアーユー?」

宮田さんは、現地でおよそ20か国の人々と交流し、核廃絶の思いをアピール。
その中には戦渦を逃れ、家族で避難してきたウクライナ人男性もいました。

ウクライナ人男性:「ウクライナから来た」
宮田さん:「仕事?」
ウクライナ人男性:「違う違う。戦争から逃げてきました。人々が戦争をやめることを願っています」
男性のある一言が胸に刺さりました。

宮田さん:
「私もサバイバーだと、生き残りだと。そういう面で共感した。ウィーンに来て思うのは、被爆者だけが苦しんでいるんじゃない。戦争被害者という大きな意味で、我々は物事を考えなくてはいけないと思いました」
■ ”感情論”ではなく ”平和を理論的に普及させる”
ヒバクシャ、そして生き残った者の1人として今、”怒り” の感情で『誓いの言葉』を述べることが本当に正しいのか?

締約国会議では、およそ50の条約批准国と、30のオブザーバー国がそれぞれの立場を尊重し、”理性的に議論を重ねる姿” が宮田さんに問いかけます。
宮田さん:
「(締約国会議で)非常に印象的なのは、ヒバクシャ、ヒロシマ、ナガサキという言葉は盛んに出てきます。ところが日本政府は出てこなかった。(唯一の戦争被爆国でありながら会議に参加しない)日本政府に対する非難は出ない。国際会議は紳士だよね。日本政府に対する非難は何もなかった」

ウィーン滞在で宮田さんが学んだもの。
それは "平和を理論的に普及させる”ことの大切さです。

宮田さん:
「国際会議で学んだのは今は怒りを言う時代じゃない。感情論を言ったって駄目ですよ。もっと世界では苦しんでる人がいるじゃないですか。被爆者ってワンオブゼムですよ」
”怒り” から ”理論” へ── そして ”次の世代” へ
宮田さんが「誓い」に込めるのはヒバクシャだけでなく、全ての戦争被害者に捧げる祈りです。
宮田さん:
「今からは、平和に対して理論的に、人道的に話をするか、ということが分かるように、若者に引き継いでいこうと」