宮崎県串間市沖の志布志湾では、イルカによる漁業被害が相次いでいます。
頭のいいイルカに対し、対策は困難で、漁業者は頭を抱えています。

(中野義大記者)
「イルカによる被害が発生していた養殖のいけすにこれから向かっていきます」

串間市沖の志布志湾。
ここで今、養殖しているハマチやカンパチが食べられたり、網を破られたりする被害が深刻化しています。

その原因となっているのは「イルカ」。
かつては5、6頭が周辺を回遊する程度でしたが、5年ほど前から定住するようになり、今では数十匹まで増加しています。

(マルエイ水産社長 大野隆由社長)
「(イルカを駆除するというのは?)非常に難しいと思います」

こう話すのは、串間市の養殖業、マルエイ水産の大野隆由社長。
2年前にはおよそ1万6千匹が食べられた可能性があり、損害はおよそ2500万円にのぼったということです。

イルカはどのようにして、いけすのハマチを襲うのでしょうか?その方法は驚くほど巧妙です。

(マルエイ水産社長 大野隆由社長)
「数頭のイルカがいけすの周りをぐるぐるまわり、何頭かが下からあわを吹く。そうすると、ハマチは驚き、四方八方に分散して突き刺さる。自力で抜けることはできないので、3分の1ぐらい出たところをイルカが引っ張る」

イルカは、ハマチを網の外側から引き抜いて捕食するため、その際に網目が広がり、さらに被害が拡大していったといいます。

被害を受けて、大野社長は網を金網に変更。
生きた魚が食べられる被害は防げるようになりましたが、今度は別の問題が浮上しました。

通常、死んだ魚は浮き上がりますが、イルカが死んだ魚を食いちぎるため、死骸が底に沈んだままになってしまうのです。

(マルエイ水産社長 大野隆由社長)
「我々は現状認識をするとき、浮いた魚で病気の有無を判断するので、死んでないなという判断になる。そうすると、必要な手当ての予防が遅れたりなど、二次被害が今も起きている」

結果として、病気が広がっているかの確認が遅れ、健康な魚にも影響がでるといいます。

また、イルカがいけすの周りを動き回ると、魚が餌を食べなくなり、養殖の効率悪化も懸念されています。

(マルエイ水産社長大野隆由社長)
「いわゆる自然の、従来のイルカの生活に戻ってもらう。養殖の魚を食べるというのは自然じゃない。我々も自然の恵みの中で仕事させてもらっているので、うまくイルカと共生しながら、この問題を解決していくかというところが大きなカギになってくる」

エサ代の高騰など厳しい状況が続く中、漁業者の模索は続いています。

【参考】
串間市漁協によりますと、イルカによる食害とみられる影響で、ミズイカの水揚げ量も激減しているということです。

イルカは国の法律で、原則、捕獲できないそうです。なんとか、有効な対策がみつかるようにと願います。