台風14号は、宮崎県内の農業にも大きな打撃を与えました。
西都市では、主力農産物のピーマンなどのビニールハウスが浸水するなどし、深刻な被害が出ています。

田畑と道路の境目が分からなくなるほど流れ込む水。
広い範囲で浸水が発生した西都市では、その被害が徐々に明らかになってきました。

(丸山敦子記者)
「こちらは3棟のビニールハウスがあるんですが、奥をご覧ください。完全につぶれてしまっています」

暴風の影響でしょうか。ビニールハウスが押しつぶされたような形になっています。

被害が甚大なのが西都市の主力農産物の一つ、ピーマンです。

(丸山記者)
「水が来た場所は?」
(寺原美穂さん)
「ここ。このあたり。120センチとかそのあたりとかまで。全く想像もしていなかった」

およそ45アールでピーマンを育てているこちらの農家では4棟のビニールハウスが浸水。
今月初めに植えたばかりのすべての苗が水に浸かり、来月の収穫は断念せざるを得ない状況です。

(寺原美穂さん)
「全部つぶすのか、そこらへんも分からない。ここも(ハウスも)直さないといけないし。(Q.全然見通しは立っていない?)立っていないですね。もう・・・きょうできることをするというだけ」

被害を受けたのはビニールハウスだけではありません。

(寺原大智さん)
「(ハウスの)上を開けて温度を調節する機械なんですけど、これがダメになるとずっと閉じたままで、中が煮えてしまって、ピーマンがダメになってしまうので、今は手動で(ハウスを)開けている状態」

肥料や燃油価格が高騰しただでさえ経営状況が苦しい中農家を襲った台風14号。
今後は、機械の修理や新しい苗の購入など復旧にかかるコストが重くのしかかります。

(寺原美穂さん)
「植え替えをしてもしなくても、赤字だろうなというのは、被害にあった人たちみんなで話している。真剣に考えると涙が出るし、だから考えないようにしないと、今あるこれだけ、この状態をどうやって、今できることをやるしかないと」

また、西都市では旬の果物にも影響が・・・

こちらのビニールハウスでは、収穫を控えたおよそ2500房のシャインマスカットが被害を受けました。

(シャインマスカット農家)
「これが洗って出せればいいけど、泥が落ちないだろうから、ダメだろうと。あとは捨てる。残念じゃわ」

こうした中、21日、河野知事がピーマン農家を訪れ被害状況を視察。
農家が対策の強化を求めました。

(ピーマン農家 今井慶一郎さん)
「(浸水対策の)ポンプアップの設備だったり、普通のメーカーだったら資材が高騰したら原価も上げられるけど、私たち農家はできないので、そういうところも含めて支援をしていただけたら」

(宮崎県 河野知事)
「早期に被害の全容把握をして我々もスピード感を持って、支援策を打ち出していく、これも大変大事だと思っている」

一方、影響は漁業にも及んでいます。

(廣末圭治アナウンサー)
「何か倒れているというか、崩れているのは・・・ここが一番ひどいですね」

日南市南郷町の外浦港では、強風の影響で倉庫の壁がはがれおちたり、漁協の建物の窓ガラスが割れたりするなどの被害が発生しました。

また、係留されていた100トンの古い漁船も、強風と高い波に押されて岸壁に衝突し、船底がひび割れ、船体が大きく傾いています。

(外浦漁業協同組合・総務部 井上和彦部長)
「毎回、台風って来るじゃないですか、季節になれば。だから台風対策は必ずするんですけど、今回の台風はちょっと想像を超してたって感じですね」

台風14号の影響は多くの産業に及んでいます。