注目の話題はカニについて。いよいよ漁の解禁が来月に迫りました。石川のカニといえばオスのズワイガニ・加能ガニの最高級ブランド「輝」。おととしには第一号に500万円の値がつきました。
さらに去年、メスの香箱ガニにも「輝姫」というブランドが設けられ、盛り上がりを見せています。そのカニ漁ですが、今年は新たな注目ポイントがあります。
線グラフで示しているのがズワイガニの県内での水揚げ量、棒グラフで示しているのは漁獲枠、今年は去年より71トン多い425トンとなっています。漁獲枠は近年、減少していましたが、今年は7年ぶりに増加しました。漁獲枠は資源保護のためカニを獲る量を制限するもので、国の研究機関による資源調査をもとに、水産庁が漁獲枠を各都道府県に分配するなどされています。
調査を担う国立研究開発法人水産研究・教育機構の佐久間啓主任研究員によりますと、石川県の資源量は最も悪い時期から比べると回復傾向にあるということで、漁業関係者も今シーズンの漁に期待を寄せています。
石川県底曳網漁業連合会・橋本勝寿会長
「あぁ久しぶりに漁獲枠が増加に転じていろいろな取り組みが少し、まだ本当に少しですけど成果が出だしたということで、希望があるというか明るい気持ちになりました」
漁獲枠増加の背景には、漁師による長年の取り組みがありました。
石川県底曳網漁業連合会・橋本勝寿会長
「加能ガニの未熟なもの、脱皮を繰り返していてやわらかいから水ガニというが、平成25年から石川県では全面禁漁=採らないということになっている」
おととし、500万円で競り落とされた「輝」第一号。水揚げした珠洲市の田喜知潔さんは…
「輝」第一号水揚げ・田喜知潔さん
「うれしいし楽しみ、皆さん更にファイトが湧いてやる気も出ると思うからいいと思います」
Q.「輝」今年も狙っていますか?
「甘いもんじゃないと思いますけど、できることならと思って頑張ります!」
カニ漁解禁前の嬉しいニュースに、市場関係者も期待を寄せます。
大口水産・荒木優専務
「我々売る方としては期待はしている。例年に比べ高くなることはないと思う。どれだけ安くなるか、やはりいくらかは漁獲枠拡大の影響が出て安値で進むという可能性もある」
そして、金沢おでんといえばカニ面。
創業89年の老舗、おでん菊一の宮崎美恵子さんは…
おでん菊一・宮崎美恵子さん
「漁獲枠が増えることで、カニがたくさんとれて、仕入れ値が安くなればお客さんに多く提供できるのでうれしい」
漁獲枠が増えた一方で、漁師の皆さんが話していたのは「資源管理」についてです。国の資源調査を担う佐久間主任研究員によりますと、石川の漁師らが進める資源保護の取り組みは、非常に積極的かつ先進的だと称賛していました。

先ほどのVTRでもあった脱皮直後のカニ・通称水ガニを禁漁としているのは全国で石川と京都だけです。石川ではこれに加え、生まれて5年以内の小さなカニが沢山いる場所では一定期間、他の漁も行わない取り組みが今年から県内全域で行われています。
石川県底曳網漁業連合会・橋本勝寿会長
「とれるときにとってしまえというのが今までのやり方ですが、それだとどんどん資源量が落ちてカニが2・3年前みたいにとんでもなく高くなる。この資源量が増えつつあるときにしっかり資源管理を継続し、安定した漁ができればと考えています」
カニを水揚げし流通させることと、今後を見据えた資源管理の両立が重要です。











