来年3月の北陸新幹線県内全線開業を控え、九谷焼の魅力を発信する芸術祭「KUTANism(くたにずむ)」が6日から、石川県小松市と能美市で始まります。地元の伝統工芸を全国にPRするため、九谷焼の産地が一体となって動き出しています。
九谷焼の急須と湯のみが置かれたのは、古民家の茶の間。

九谷焼の芸術祭「KUTANism」は、窯元やギャラリーなど小松市と能美市にある23の施設をめぐるイベントです。このうち、小松駅からほど近い龍助町の松雲堂では、日常生活に九谷焼を取り入れた様々なシーンを演出しています。
クタニズム広報事務局・星野優花さん
「入口に入ると、ダイニング、リビング、書斎のイメージになっている」
伝統的な小松町家の建物はもとは九谷焼の窯元だった建物。芸術作品ではなく使い勝手の良い工芸作品として見てもらえるよう、新たな工夫も施されています。

クタニズム広報事務局・星野優花さん
「皿として使っていただいても良いが、ここではアクセサリートレー、香水トレーとして紹介している。九谷焼はすごく縁起が良い柄が多いのも特徴的なので、こういう風に生活の中に取り入れて頂けると楽しいかなと」

各会場に用意されたシールは回遊性を高めるため仕掛け。公式ガイドブックに各施設のシールを集めると九谷焼グッズがもらえる楽しみ方も提案しています。
県九谷陶磁器商工業協同組合連合会によりますと、30年前の1993年度は150億円だった九谷焼の生産額は、昨年度は3分の1以下の約43億円までに減少しています。来年3月の北陸新幹線開業に期待が日増しに高まるなか、「KUTANism」の開催で新たな九谷焼の魅力を発信します。

小松市・坂下義視 観光交流課長
「県内外から、全国から、たくさんの方に九谷焼の魅力を体感して頂いて楽しんでいただきたい」
一方、能美市の会場では、九谷焼の伝統的な絵柄を透き通る程の薄い布に描くことで、幻想的な空間が広がるインスタレーションが訪れる人の目を引きつけそうです。

九谷焼の新たな魅力に触れられる「KUTANism」は11月5日まで開かれます。