毎年この時期になると気になってくるのが花粉症。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によりますと、学会が行った調査時にスギ花粉症にかかっている人の割合=有病率は、2019年に39パーセントにも上り、20年間で2.5倍に増加しているということです。ことしの飛散傾向はどうなのでしょうか?
山を黄色く染め、見るだけで花粉症の人の鼻をムズムズさせるスギ花粉。今シーズンは全国的に飛散量が過去10年で最も多くなるとも言われていますが、気になる石川県内の飛散開始はいつになるのでしょうか?「今後天気予報をみるとちょっと微妙なので本当に早かったらあす飛散開始。あるいは来週22日くらい」(石川県林業試験場矢田豊さん)
県林業試験場では1日1回、花粉の飛散量を観測しています。1平方センチメートルあたりに、1個以上の花粉を2日連続で観測したその日が、飛散が始まった日と定義されるということです。「林業試験場での調査結果からは去年とほぼ同じくらい。過去10年の平均と比べるとやや少なめと予想している」と矢田さんは話します。
国民病ともいわれる花粉症を根本から改善するような取り組みが林業試験場で進められていました。花粉が出ない無花粉スギ、花粉が少ない少花粉スギの育成です。矢田さんは2008年に、日本で初となる林業用に使える無花粉スギの交配に成功した共同研究メンバーの1人です。『無花粉スギの研究が先行していたが実用化への近さということで現在は少花粉スギの生産を優先している。』(県林業試験場 矢田さん)少花粉スギでは、花粉の付きが良くなる薬をつけてみても、通常のスギよりも花の量が少ないのが明らかです。
少花粉スギの育成が花粉症に悩む人の救いとなるよう、研究者たちの息の長い取り組みが続けられています。