ラリックとは何者か ジュエリーからガラスへ、革新の軌跡
ラリックの代表作のひとつ、ブローチ「翼のある風の精」。エナメル(七宝)と大小のダイヤモンドが施されている

ラリックの名声が最初に世界に知れ渡ったのは、ジュエリーの分野だった。代表作のひとつが、「ブローチ 翼のある風の精」だ。
翼部分には七宝と呼ばれるエナメルと大小のダイヤモンドが施されており、彫刻にも精通していたラリックならではの優美な身体表現と独自のジュエリー表現が見事に融合された作品である。
篠原さんは、この作品を目にして「存在感がありますね」と感嘆した。
篠原ともえさん「ドレスの裾がまるで舞っているように風を表現しているんですよね。絵のようなんだけど立体で表現されていて、着けていると女性たちもパワーをもらえるようなジュエリーだったんじゃないかな」

普通のジュエリーが貴重な宝石の希少性を重んじる時代にあって、ラリックが際立っていたのはデザインそのものの素晴らしさだった。
そのラリックは1900年のパリ万博でグランプリを受賞し、近代宝飾界の革命児として名声の頂点を極める。
しかし、その栄光の時代に突如として陰りが差し込む。19世紀末から20世紀の頭にかけて、美術様式がアール・ヌーヴォーからアール・デコへ、わずか20年から30年の間に移行したのだ。
「簡単に言うと、曲線から直線になるんですね」と唐澤さんは説明する。
ラリックはジュエリーを作って注目されたあとに、ちょっと下火になってきた。そこでラリックが次に挑戦したのが、ガラスの世界だった。











