石川県穴水町の特産品のひとつ「能登かき」。長引くコロナ禍でイベントの中止や飲食店の休業が相次ぎ、生産者も大きな打撃を受けました。こうした中、地元の高校生たちがカキを使った缶詰を開発し、地域の盛り上げに動き出しました。


穴水湾で取れたプリプリのカキやシイタケなど、能登の食材を使ったアヒージョの缶詰。実はこの缶詰、生徒たちが味やパッケージのデザインを考え、開発を進めているこだわりの一品です。

穴水高校2年 諸谷龍之介くん
「3年生の総合的な探究の授業時間で、地域活性化の為に缶詰を作ろうと缶詰コンクールに出したが、2回戦で敗退してしまって、そのまま缶詰を作る案を無くすのはもったいないという事で商品化に向けて取り組んでいる」

先輩の思いも引き継ぎ、後輩の2年生たちが今年9月から地元のNPO法人の協力を得て、商品化を目指してきました。


この日、訪れたのは穴水町の養殖場。生産者の河端譲さんと一緒にカキの収穫を体験しながら、漁の現状についても理解を深めます。沖に設置された4m四方ほどのイカダを使った養殖が穴水湾の漁の特徴でもあります。地元に根付く水産業を肌で感じる生徒たち。収穫したカキの殻むき作業にも挑戦しました。

穴水高校2年 田近駿介さん
「体験するまでは能登のカキを使う、それだけのイメージだけだったんですけど、(カキを)作っている人の為にも商品開発を頑張らないといけないなと思いました」

生産者の苦労や新型コロナの影響で、行き場がなくなったカキの現状を知り、地域を元気にしたいとの思いを強くした生徒たち。そんな若者の姿に生産者も。

カキ生産者 河端譲さん
「ありがたいですよね、小さくて売り物にならない牡蠣が出てくるので、生産者としては嬉しいことですね」

自慢の缶詰のお披露目の時。今月18日から東京の池袋ではじまった「ニッポン全国物産展」です。能登カキのアヒージョの缶詰100個が石川県のブースに並びました。リーダーの諸谷龍之介さんとメンバーの島田俊輔さんが、缶詰の魅力を懸命にPRします。

穴水高校2年 諸谷龍之介さん
「高校生が開発した能登カキのアヒージョ缶です。いかがですかー」


1個1200円(税込)と、缶詰にしては少々高めの値段でしたが、用意した100個は見事完売!

穴水高校2年 島田俊輔さん
「商品をどう売り出すか、能登の牡蠣アヒージョっていう缶の一番の魅力を伝えるのが学びになったし、お客さんからの辛口の意見も良い学びになった」

穴水高校2年 諸谷龍之介さん
「能登ってカキって有名なの?って聞かれたり、知名度が低いなと思ったけど、きょうの物産展で知って貰えたんで、もっと有名になってくれたらなと思います」


特産品の苦境から生まれた新たな交流。高校生たちの夢と生産者の思いをのせた「能登かき」の缶詰開発はこれからも続きます。