能登半島地震と豪雨で被害を受けた被災地の「今」を伝えようと語り部活動を続ける若者がいます。「輪島が嫌いだった」。一度はふるさとを離れ、再び戻ってきた19歳の青年を取材しました。
中村輝人さん(19)
「ここが、朝市通りの露店があった場所。輪島朝市ですね。ここを通ったら、すぐ『買うてくだー(買ってください)』って。でも、一度(朝市を)見たことある人なら分かるけど、皆さん言うのは『なんだか分かんないね』『何があったのか』ってことですね」

今月11日、輪島市で行われた復興ツアー「クエスト輪島」。案内役は中村輝人(てるひと)さん、市内に住む19歳です。自分の足で被災地の今を伝えようと、去年の冬にこの企画を始めました。
中村輝人さん(19)
「ボランティアだとか、復興だとか。小さな案件や課題=クエストを解決したいという思いでこの名前をつけました」

この日、参加したのは、金沢市と白山市に住む2人と、県内出身で奈良県から訪れた女性の3人組。能登半島地震で被災した輪島市の重蔵神社をはじめ、輪島朝市通り周辺や仮設住宅など、およそ2時間をかけて市内中心部を歩いて巡ります。
「あれがさっき言ってたカラオケです。輪島の子どもや高校生がみんな歌いに行ってたけど…。ビル自体が地震でダメになって。玄関もほんと正月のまま」

道の駅での休憩中、中村さんの印象について語り始めたツアー客。しかし、ついたての裏には本人が…。
参加した女性
「なんか結構オジさんくさいのかな~と思って。そんなタイプの人かと思ったら全然…」中村君「…やらせですか(笑)」

中村さんは自身の経験などを交え、軽妙な語り口で案内します。
中村輝人さん(19)
「僕の同級生で輪島に残っているのは5~6人とか。高校にいて、自分が一番輪島を出たい人でしたから。(Q出たんやろ?)一番最初に出ました。なのに、最後までいるっていうね」