企業が使い捨てプラスチック製品の削減を目指す新たな法律「プラスチック資源循環法」が4月1日から施行されました。削減の対象となっているプラスチック製品はフォークやスプーン、歯ブラシ、ヘアブラシなど生活に身近な12品目です。おととし7月にコンビニやスーパーのレジ袋が有料化された時のように、プラスチックごみ削減を目指す取り組みですが果たして、その効果はあるのでしょうか。

4月になっても消えないホテルアメニティ

コンビニのスプーンが有料化?ホテルのアメニティがなくなる?そんな記事がテレビやインターネットなどのメディアで話題となり注目が集まった「プラスチック資源循環法」通称・プラ新法。

しかし、ホテルに宿泊した人たちに聞いてみると。
「歯ブラシですよね。ありました、プラスチック製の。あると便利ですよね、きょうも歯ブラシ持ってきてないですから」「(新製品を)置いてあるホテルにもし出会ったとしたら、取り組んでるんだなと感じますね」「(有料化や撤廃などは)困りますね。使う側としては無料であった方が助かりますね」

基準は「年間5トン排出」 対応迫られるホテル側


ホテル大手・アパグループでは、今のところ多くの部屋に従来のプラスチック製アメニティを置いています。

早速対応しなければいけないわけではなく、環境に配慮した新たな製品への切り替えは、在庫が無くなり次第行っていくということです。

アパホテル金沢駅前・谷口里帆さん「今はプラスチックの歯ブラシなんですけど今後は植物の竹を使ったもの、そして中を空洞にすることで資源を削減したものに替えていく予定になっています」

竹製の歯ブラシのほか、再生プラスチックを利用した髭剃りやバイオマス素材のヘアブラシ、コーンスターチを使ったシャワーキャップなどに変更することで、年間で100トン以上のプラスチック削減を見込んでいます。

ことし秋までを目途に新製品に切り替える見通しです。

アパホテル金沢駅前・谷口里帆さん「クオリティが良いものになっているので繰り返し使って頂ける」

国内外に300を超える数のホテルを展開するアパグループのように、単年度で5トン以上のプラスチック製品を提供する大企業は、その排出を抑えることが義務化されます。

しかしアメニティは簡単に有料化、または廃止できるものではないとホテルの責任者は話します。

アパホテル東海・北陸地区 石山雅彦 統括支配人「アメニティはお客様の満足度に直結するものなので急にアメニティをなくしてしまうとお客様に選んでいただける機会も減ってしまう。使用量を削減することは考えていますけれども、アパグループではこれまで通りすべての部屋にアメニティを設置させていただきます」

また脱プラ製品の開発は、コスト面でのハードルも高いようです。

アパホテル東海・北陸地区 石山雅彦 統括支配人「大変なコストもかかります。これまでのものと比較して約50%ほどのコストアップになるけれども。しかし社会的な責任として、バイオマスあるいは再生プラスチックの利用をますます促進していきたい」

法律施行後も根強いプラスチック需要


ホテル・旅館の規模が小さければ小さいほど、アメニティを切り替えるうえでの障壁は、より大きなものになります。

記者「ホテルや旅館にアメニティを販売している会社に来ました。歯ブラシなどの在庫をしっかりと抱えていて、話を聞くとプラスチック製品は今後も需要を見込めるということです」

金沢市問屋町にある久江田は、県内外400以上の宿泊施設にタオルやアメニティを販売しています。

法律が変わった今も「プラスチック製品に対する需要は根強い」と久江田和幸社長は話します。

久江田・久江田和幸社長「(プラスチック製品の)受注自体は減ってないです。需要は多いです、多いです」

今回のプラ新法を受け、この会社でもバイオマス素材のアメニティを扱い始めましたが、従来製品よりも高価なことが課題だといいます。

久江田社長「倍くらいします…やはり。それで(新製品に)手を出しづらいという問題もあるので。“替えない”っていう旅館も多いですけど、問い合わせは多く頂いています。皆さんも興味はあるんですけど値段も値段ですし。周りの動向も含めてみなさん二の足を踏んでいる」

そもそもホテルや旅館によっては、義務化の対象になる「年間5トン排出」という基準に達しないケースも多いようです。
久江田社長「一軒一軒、経営する旅館やホテルが石川県内は多いので。コンビニ(のレジ袋)など大手が有料化するのとまたちょっと違う。なかなか進みづらい施策なのかなとは思っています」

脱プラの効果は期待薄?見えてきた課題


グリーンピース・ジャパン 大舘弘昌プラスチック問題担当「少なくともすべて有料化、あとは必要のないものは流通の禁止なども含めて検討していくべきです」

新法では、プラスチック削減の努力を求め、従わなければ事業者名の公表や罰金などのペナルティが設けられています。
しかし、事業者が行う対策については実効性に乏しい部分が多いと、地球規模の環境問題に取り組む国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」の大舘弘昌さんは指摘します。

大舘弘昌氏「(客に)“必要ですか必要じゃないですか?”と聞くだけで企業は合理化の基準に沿った対策をしたことになる。そのため、ある意味非常に緩い対策もできてしまう。非常に懸念しているのは、使い捨てプラスチックそのものを大きく減らしていくことになるのかどうか…」

環境省によりますと、今回対象となる12品目はプラごみ全体の1%未満だということです。大半を占める弁当容器やペットボトルなどのプラスチック容器は対象外で、その削減効果にも疑問が残ります。
大舘弘昌氏「本来減らさないといけない容器包装の分野で取り組みが非常に遅れてしまっている。具体的に使い捨てプラスチックを大幅に減らす社会の新しい仕組み作りを早くやっていかないといけない段階がもう来ている」

課題が山積し、一筋縄ではいかない「脱プラ」の取り組み。せめて、私たち消費者一人ひとりがプラスチックごみを減らすきっかけにしたいものです。