東日本大震災から東北の被災地で継続的に復興を支援してきた石川県内のボランティア団体。能登半島地震では、活動の費用を東北から届いた「恩返し」の支援金でまかなっています。災害をきっかけに生まれた縁が、東北と石川の支え合いにつながっています。

「点灯!」

今月3日、小松市内で開かれた「キャンドルナイト&Music」。ボランティア団体「チームこのへん」が、東北の復興を願って2012年から毎年開いています。今年は能登の山や海をイメージしたキャンドルなど150個が灯され、訪れた人が復興へと祈りを捧げました。

能登の里山里海をイメージしたキャンドル「万象」

小松に2次避難している人
「楽しいです。こういうのもないとふさぎこむじゃないですか」
「小松の方たちにすごく親切にしてもらってみんなが好きになっちゃって」

チームこのへん・那谷 忠之代表
「今回は2次避難者の方々も楽しんでもらえるように、そして自分たちで何かできることはないかと学んだり気づいたりできる機会になればいいと思って開催した」

小松市で和菓子屋を営む那谷 忠之さん。

チームこのへん・那谷 忠之さん

東日本大震災の翌年、知人らとともに団体を立ち上げ、毎年、津波の被害を受けた福島県いわき市の薄磯(うすいそ)地区で夏祭りを開くなどして住民と交流を重ねてきました。


いわき市の住民(2013年当時のインタビュー)
「今までの苦労がどこかへ行ったみたい。最高です」

那谷 忠之さん(2013年当時のインタビュー)
「心と心がつながったり、いろいろな部分で交じり合えたことが本当にうれしい。またいろいろな人と人とを繋いでこちらのほうに来たい」

2013年当時の那谷さん

こうした中、元日に発生した能登半島地震。那谷さんは仲間たちとともに1月から何度も能登に通い、被災した住民に衣類を届けたり、各地の避難所で炊き出しを行ったりと支援を続けています。

「自分たちが笑顔じゃないと笑顔にできませんので、笑顔を忘れずよろしくお願いします」

歌手のMISIAさんらと炊き出し(輪島市内・2月=那谷さん提供)

これらの活動の資金は、福島県いわき市から届いた支援金でまかなわれています。


いわき市在住・立原めぐみさん
「受けたご恩を今こそ返さなければいけないという使命感というか…」
那谷忠之さん
「勉強させてもらったおかげで初動も早く、1月2日に僕たち動けましたし…いろいろなことを教えてもらって繋がっていたからだなと」

この日那谷さんが連絡を取っていたのは、12年間、交流を重ねてきたいわき市の住民たち。


能登の地震が発生した直後から、那谷さんの団体を支援しようとSNSなどを通して能登の現状を発信し、募金を呼びかけてきました。

永山 真由美さん
「(被災者は今後)状況状況で自分の気持ちを変えていかなければいけない。自分の住むところもどういうふうにしようというその決断が私は一番大変ではないかと思う」
吉田 元さん
「正解・不正解のない選択の繰り返しがこれからきっと出てくる。した決断を無理にでも飲み込んで前に進んでほしいなと思う」
立原 めぐみさん
「民間だからこそ継続的な支援ができると思う。忘れないでいることってとても大事。忘れられてしまうことって置いてけぼり感があるというか被災された方ってすごく寂しい思いをされると思うので」

那谷 忠之さん「金銭的なものだけじゃなくてメンタルというか、精神的な部分で色々な事を教えてもらったり、支えてもらえたということは、震災っていやだけどそれでつながったご縁というのもあって、それでみんな支えられているんだなと温かい気持ちになっている」

東北からの後押しを受けて今年も開催できたキャンドルナイト。

イベントでは小松市内で暮らす2次避難者が、避難生活を支えてくれた市民への「恩返し」として能登の郷土料理をふるまいました。

小松市民
「大変な思いをされてその中でもこうやって(ふるまいを)してくれて、こっちも元気出ますし応援できたらと思って」

輪島市から2次避難した山根けい子さん
「小松の人によくしてもらったので少しでも恩返しができてうれしい。みなさんが喜んでくれるかなと、能登の味を分かってくれるかなと思って作りました」


能登の被災者から小松市民への恩返し。そして福島から石川への恩返し。
災害をきっかけに生まれた縁が支えあいの輪を広げています。


那谷 忠之さん
「活動を通して被災者の方々と直接つながる・心を通わせることができたおかげでいま恩返しをしたいという気持ちがひしひしと伝わってきているので、僕たちはこの先も能登のためにがんばって活動を継続していかなければならないと思っている」