36人が犠牲になった、京都アニメーションへの放火殺人事件。殺人罪などで起訴された青葉真司被告の裁判員裁判が、2023年9月5日から始まりました。犠牲者の1人、渡邊美希子さん(当時35)の兄が語った遺族の思いと社会への願いを、入社1年目の記者が取材していました。【前編・後編の後編】
「まさか自分の家族が。大丈夫やろう」
――渡邊美希子さんの兄、勇さんは、事件の事を別のきょうだいから聞きました。ただその時は、「まさか家族が」と、考えていました。
▼渡邊勇さん「(事件の連絡を受けて)『大丈夫やろ』と、勝手に思い込んでしまっている自分がいたんですね。世の中には事件とか事故とかいろいろありますけど、そこに関わるわけないやろという、何か意味のない認識ですよね。可能性としてはあるけれども、そんなことはないだろうと、思い込んでいました。」
「でも、時間が経つにつれて、情報がどんどん入ってくるわけですよね。どんどん不安が募っていく形でした。」

「私からも、妹(美希子さん)の方に電話をかけたりとか、LINEを送ったりとかしましたけど、返答がない状態。母と妹(美希子さんの姉)は、現地の京都に行くことになって、私自身も行きたかったんですけど、妻が妊娠中で、当時まだ2歳の子供もいましたので、家を守る側という形になりました。」