6月は多様な性への理解を呼びかけるプライド月間です。22日、高知市の中学校でトランスジェンダーの男性が講演し、生徒たちに“自分らしく生きることの大切さ”をアドバイスしました。
(暁 Project 大久保暁(おおくぼ・あきら)さん)
「これってトランスジェンダーっていうんだってはっきり分かった時に、ようやく人生のスタートラインに立てた気がした。こっから自分らしく生きていこう」

高知市の南海中学校で講演したのは高知市出身の大久保暁さんです。大久保さんは女性の体で生まれましたが年齢を重ねるにつれ心は男性であることを自覚。2012年に性別適合手術を受け、戸籍上でも男性となりました。こうした自身の経験を踏まえて性的マイノリティー・LGBTQへの理解を深めてもらおうと全国で年間200回ほど講演を行っています。

今回のテーマは「性の多様性を知る」。大久保さんは「異性を好きになる人ばかりではないことを理解してほしい」と強調した上で、これからできることとして・相手の立場になって考える・相談を受けたら否定せずに聞くことなどを生徒たちにアドバイスしました。

手術を受ける前は体育教師だった大久保さん。自分らしい人生を歩むことができている今、生徒たちからの質問に自身の経験と思いを込めて答えます。

(生徒)
「性別適合手術をした時はどんな思いでしましたか?」
(暁 Project 大久保暁さん)
「性別を変えるってなった時は、もちろん大変なことではあるんだけれど、私の中では、やっぱり希望しかなかった。人生って1回しかないんです。今日も1回しかないですよね。皆さんも自分らしい人生っていうことをぜひ考えていってほしいと思います」

(生徒)
「きょうからできることで相手の立場になって考えることを大事にしていこうと思いました。人の違いを楽しめるような人間になりたいと思いました」
「自分がありのままで生きていけることも良いと思ったし、人に否定することとか何も言わずに、相手の意見を尊重し合うことがすごく大事だと思いました」

(暁 Project 大久保暁さん)
「どんな反応かなと思ったんですけれど、よく聞いてくれていました。もしカミングアウトされることがあっても、この子たちなら安心だなっていう環境ができていると思うので、今回来れてよかった。人と違って良いんですよね。逆に自分と違う人のこと、その子らしさを大切にできる環境になっていけば、誰もが悩まずに生きていけると思います」

今月16日に国会で性的マイノリティへの理解を促す「LGBT理解増進法」が成立し、23日に施行されたほか県内5つの市と町では当事者カップルを「結婚に相当する関係」と認めるパートナーシップ登録制度を採用しています。こうした取り組みが進む中、改めて私たち一人一人が、どんな立場の人でも自分らしく暮らせる社会のために何ができるのかを考えていく必要があるのではないでしょうか。