高知県土佐市の観光交流施設をめぐるNPO法人と飲食店とのトラブルで、市議会では板原市長に対する質問が相次ぎました。飲食店への法的措置について見解を問われた板原市長は、「個人的には訴えたくないが『100%ない』とは言えない」と述べました。
土佐市では、新居(にい)地区の観光交流施設「南風(まぜ)」で、入居する飲食店事業者と指定管理者である地元のNPO法人が退去をめぐってトラブルとなっています。SNS上でこの件についての投稿が広がり、先月、市の施設の爆破予告や子どもの誘拐予告などが相次ぎました。土佐市の板原市長は、先週開会した6月市議会の中で「市にも責任の一端がある」という認識を示していて、12日からの一般質問では、議員からこの件についての質問が相次ぎました。
(糸矢幸吉 議員)
「行政報告の中にも『NPO法人と飲食店、お互いの目指す方向がずれていった』とあったが、どのようにずれていったのか?」
(板原啓文 市長)
「NPO法人は『振興策で整備した施設に対する新居地区活性化への思い、施設来訪者からの要望、緑地公園の来園者の南風への誘導など』を考え、そして飲食店は『地元食材の利用、市内外へのPR、企業としての経営コンセプト等』顧客のターゲット層や提供するメニュー、運営内容等にそれぞれの考え方があり、年数が経過するにつれ、NPO法人と飲食店の目指す方向が少しずつずれていった、との報告を受けている」
また、「一部の市民から『飲食店への法的手段も含め検討するべき』という声があがっている」という質問については。
(板原啓文 市長)
「SNSでの拡散についてはよくないことで多大な被害があっていることは事実。しかし、市などに訴えても解決に至らず仕方なくした行動であり、弱い立場のそうした行動も理解できる。なので、私の気持ちとして個人的には訴えたくないが、飲食店の新しい弁護士のスタンスもわからないし『100%ない』とは言えない。訴訟することもありうるかもしれない。しかし、まずは訴訟の前に円満解決に向けた取り組みが大切と考えている」
この他、「爆破予告や誘拐予告が相次いだ中で記者会見を開かずHPでコメントを発表したのみだった」と指摘された板原市長は、「顧問弁護士と相談したうえでの対応だったが、今後は記者会見や動画配信で直接、自分の言葉で伝えたい」と述べました。