高知でひたむきに頑張る人を紹介する「ミライへの手紙」です。今回、未来の自分自身へメッセージをつづるのは高知競馬の新人騎手近藤翔月(こんどうしょうげつ)騎手です。
午前2時。多くの人が眠りについている時間に彼の一日は始まります。
高知競馬の新人騎手・近藤翔月さん17歳。
(近藤翔月さん)
「今から馬の調教が始まります。いつもは調教が始まる30分前くらいに起きてます。1時半くらいです」
静寂に包まれた高知競馬場。夜明け前のひんやりとした空気のなか騎手たちは馬と向き合い汗を流します。
(近藤翔月さん)
「次のレースで勝てるようにその馬に合ったトレーニングをしています。馬とコミュニケーションをとるそういう時間でもある」
騎手としての技術を磨き何よりも馬との信頼関係を築く大切な時間。レースがある日を含め週に6日近藤さんはこうした生活を送っています調教を終える頃には時計の針は午前8時を過ぎていました。

(近藤翔月さん)
「お疲れさまです。今から食堂でご飯を食べます。この仕事をしてたら昼ごはんみたいなものですね」
騎手や調教師などが利用する食堂。
いつもの席に座りほっと一息。
近藤さんは愛媛県出身。親元を離れ寮生活を送っています。騎手を目指したのは小学1年生の時でした
(近藤翔月さん)
「小学1年生の時に父親と阪神競馬場に行って、騎手がかっこいいと思ったのがきっかけです」
小学4年生の時に乗馬を始め中学卒業後は騎手を養成する栃木県の地方競馬教養センターへ。そこでの2年間は苦しさも楽しさもありました。

(近藤翔月さん)
「(教養)センターの中ではスマホが使えなかった。外出が2週間に1回しかできない。1年目の10月ごろに落馬で指の骨が折れてそこから1か月馬に乗れず苦しかった。厳しいこともあったが結構充実した2年間だったと思います」
厳しい訓練を乗り越え去年騎手免許試験に合格。この春地元愛媛に近い高知競馬で騎手人生の第一歩を踏み出しました。
(近藤翔月さん)
「正直、地元(愛媛)より住みやすいところだと思います。食べ物がおいしいです。(好きな食べ物は?)魚です」
高知競馬でのデビューは4月5日でした。その日5戦目となる最終レース、近藤さんはデビュー日に初勝利を挙げる快挙を成し遂げます。

(近藤翔月さん)
「最後の直線で抜け出して勝ったときは信じられなかった。嬉しかったですけど馬の能力で勝たせてもらったので納得いくレースではなかったです」
師匠である調教師の宮川さんは近藤騎手の力をこう評価します

(調教師 宮川浩一さん)
「ストロングポイント(長所は)バランスがいいこと、基本がしっかりできています。メンタルの部分で17歳ですし、ちょっと弱いところもあるので。上手な人を見習う、上手な人はどう乗っているんだろうというのをしっかり見習ってほしいです」
近藤さんは毎日欠かさず厩舎で馬の世話をしています。
(近藤翔月さん)
「世話をしたら世話をした分だけレースに出ると思っている」

近藤さんは今季50勝という高い目標を掲げています。その成長を見守る兄弟子の妹尾将充(せのおまさちか)さんは…
(妹尾将充さん)
「今の調子なら(50勝は)いけると思いますけど、どこかで壁にぶち当たると思う。そこでいかに自分が立ち直れるか。上に上にいってくれたら」
9月14日デビューから順調に勝利を重ね勝ち数を23まで伸ばしていた近藤さんですが、目標の50勝の折り返しを前に足踏みが続いていました。この日は思うようなレースができず6戦を終えて未勝利。

(近藤翔月さん)
「まだ積極的なレースができていないので、切り替えて残りのレースに臨もうと思います」
ベテラン騎手でさえ勝てない日があって当然の厳しい世界。ましてやデビューしたばかりの新人です。しかしそれでも近藤さんは前を向きます。
(近藤翔月さん)
「デビューして5か月ほど経ちましたけど、勝てなくなった時は1か月くらい勝てない時期がありました。まだやっぱり未熟なところが多くあるので、その未熟なところを直せたらもっと勝てると思う」
近藤さんの夢は高知競馬を代表する騎手になること。日々のレースで勝利を積み重ねることだけがその夢に近づく唯一の手段です。
この日の7戦目。近藤さんは馬の特性を生かした先行して逃げ切る見事なレース運びで勝利。24勝目を挙げました。

(近藤翔月さん)
「無事に勝てて嬉しいです。逃げれたら一番いいと思っていた。結果的に逃げられたので自分のペースをつくることができて良かったです。1勝できたことは嬉しいことですけど、全然満足していないので嬉しい気持ちは心に留めて次に向けて頑張っていきたいです」
高い目標を掲げ奮闘を続ける近藤騎手。ミライの自分自身へ思いをつづります。
(近藤翔月さん)
「10年後の自分へ。10年後の自分はどんな騎手になっていますか?デビューする前から目標にしていた高知競馬を代表する騎手になるという目標を達成することができていますか?たくさん大きな壁に当たっていくと思いますが、諦めず全力で一つ一つの壁を乗り越えていってください。近藤翔月」














