愛媛・松山のお座敷文化を受け継ぐ「松山検番(まつやまけんばん)」で17年ぶりに新人の芸者がデビューすることになり、16日、襲名式が行われました。先輩芸者と交わした契りとは?
「松山検番」の芸者としてデビューするのは、松山市出身の「きなこ」さん(25)で、約1年間、芸者見習いとして舞踊や作法などを学んできました。
16日は明治時代から続く「松山検番」の伝統に則って襲名の神事が行われ、家族らが見守る中、「きなこ」さんが儀式に臨みました。
幼いころから生け花やお茶、太鼓などに親しんできたという「きなこ」さん。大学を卒業後、愛媛県外の会社に就職しましたが、芸者の仕事に興味を持ち、去年、「松山検番」の門をたたきました。
式では、「松山検番」の5代目代表、「千代鷺(ちよろ)」さんと親と子の契りを、先輩の芸者、「とん子」さんと「八千代鷺(やちよろ)」さんとは姉妹の契りをそれぞれ結びました。
(松山検番千代鷲代表理事)
「お二人に尋ねます。本日ただいまを持ってきなこ、千代鷲預かりから解き、我ら松山検番の一門に加え、その名を鼓千と名乗ることこれを許すこといかがでしょう?」
(先輩芸者)
「許します」「よろしくお願いします」
(きなこさん)
「久しく何卒、よろしくお頼み申し上げます」
先輩芸者から許しを受けると、「鼓千(こせん)」の名前で、芸者デビューを果たしました。
「松山検番」にはピークだった1955年頃には150人ほどの芸者が所属していましたが、時代の変化とともに減少していて、今回、芸者の誕生は17年ぶりとなります。鼓千さんを含め4人の芸者が所属することになります。
(鼓千さん)
「一度、太平洋戦争のときにその歴史が途絶えてしまったということを聞いた。芸者という仕事が、現代にも続き残っているということは、このまちがこの世界が平和であることの象徴。皆さまの心の平和が続いていくということを祈って、芸者としてこれから頑張っていきたい」
鼓千さんは、来月17日にお披露目の場が設けられます。