「食べることが、つらい」そう感じたことはありますか?

食べることを拒んだり、極端に食べては嘔吐や下剤の乱用を繰り返したりする摂食障害。私自身も10歳で拒食症を発症した元当事者です。きっかけは、クラスメートからの嫌がらせでした。

「もう学校に行きたくない」と思いながら過ごした夏休み。8月31日の夜、激しい吐き気に襲われました。その日を境に体が一切食べ物を受け付けなくなり、自宅で塞ぎ込む日が数か月にわたり続きました。私の場合は、入院治療と家族の支えで日常生活を取り戻すことができましたが、摂食障害の背景には様々な社会的・精神的な要因が複雑に絡み合っていることが多いため、長年にわたり苦しむ患者も少なくありません。

長い期間、暗闇から抜け出せずにいる人たちが多くいること、摂食障害は、決して“特別な”病ではないこと、そばにいる誰もが支えになれることを、沢山の人に知ってほしい。そのためにも、摂食障害と、とことん向き合いたい。

そう思わせてくれたのは、ある一人の女性でした。

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生理は止まり、体重は28キロに

(愛媛県摂食障害支援機構 代表理事・鈴木こころさん)
「私は病気じゃない、ダイエットしているだけ。食べようと思ったら食べられるという気持ちで、1年間くらい隠し通していました」

愛媛県摂食障害支援機構・代表理事の鈴木こころさんは、看護師を目指す学生たち向けて自らの経験を語りました。

(鈴木さん)
「自分の考えを持ったり自分の意見を言ったり、そういうことを子ども時代にずっとしてこなかったので、ずっと自信が無いままだった。不安だから何かにしがみついてなかったらいけなくて、最初は成績にしがみつきました。一番であることにしがみつきました」

幼い頃から真面目で勉強熱心だった鈴木さん。食事制限のきっかけは高校入学後、思うように成績が伸びなかったことでした。目に見える“結果”を追い求め、ダイエットはエスカレートしていったといいます。

(鈴木さん)
「徐々に食べ物をやめていったら、面白いように体重が落ちた。高校1年の冬には野菜しか食べられなくなって、100グラムでも増えるのが怖くなりました。2年生の夏には、キュウリと氷しか食べられなくなりました」

50キロあった体重は28キロまで減り、入院。生理は何か月も止まっていました。入退院を繰り返しながら、4年かけて高校を卒業しますが、専門学校に進学した鈴木さんを待っていたのは、壮絶な日々でした。