愛媛の調味料はなぜ甘い? “食”の専門家に聞いてみた
では、そもそも愛媛で甘い醤油や味噌が広がったきっかけは何だったのか。食文化を専門に研究している、松山短期大学(現在は愛媛大学所属)の垣原教授に話を聞いた。
――愛媛はなぜ甘い味付けが多いんでしょうか?
垣原登志子教授
「古くから言われているのは、肉体労働をしている地域は全国的に味付けが甘いと言われている」
農業や炭鉱業など肉体労働が主要産業だった地域の人たちは、身体を動かすのに多くのエネルギーが必要となることから、無意識のうちに甘めの味付けを好む傾向があるという。

さらに、垣原教授は県内でも地域によって差があることも教えてくれた!
垣原登志子教授
「東予・中予・南予でいくと南予が一番甘い」
※愛媛県は東部・中部・南部の3地域に分けられる。
南予地域の農業は、より肉体への負担が大きい階段状の畑「段畑(だんばた)」で行われることが多いことに加え、海を挟んで近くにある九州地方から甘い食べものが伝わり、県内でも特に甘い食文化が顕著に見られるという。
しかし!愛媛以外にも、農業が盛んな地域や九州と交流が盛んな地域は全国に数多くある。その中で、これほど「甘い」食文化が愛媛に根付いたのには、他にもっと理由があるのではないだろうか?
その疑問をぶつけてみると、垣原教授はこんな話をしてくれた。
垣原登志子教授
「瀬戸内海地域は麦でみそを作っている。このみそを飲んで育つとそれが一番おいしいと感じるのではないか」

そう、愛媛ではおなじみの甘いみそ「麦みそ」。愛媛で培われた甘い食文化のルーツは、この調味料にあるかもしれないというのだ。
ということで、取材班は県内のみそメーカーへと向かった!