愛媛県松山市で今月12日、松山城がある城山の斜面が崩れて住宅1棟が倒壊し、一家3人が死亡しました。

今回の土砂崩れでは、山頂付近の緊急車両用道路で行われた工事との関連が焦点となっています。あいテレビでは、道路の亀裂が先月から急拡大していたという住民の証言をお伝えしましたが、これについて松山市は「経年劣化による軽微なひび割れと判断していた」と説明しました。

城山の山頂付近では、緊急車両が通るための道路の擁壁が傾き路面に亀裂が入ったため、今月、擁壁の一部を撤去する応急工事が行われていました。

松山市はこれまでの経緯について、次のように説明しています。

▼去年6月の大雨によって擁壁に傾きが発生。
▼工事の準備を進めていたところ、今月1日の朝、業者から「現地に亀裂が入っている」と連絡があり、市は路面の亀裂を認知。
▼今月2日~9日まで、擁壁の一部を撤去する応急工事を行った

一方、住民からは-。
避難した男性
「亀裂が入ったというのは正月ぐらいの頃に入っていた。それがだんだんひどくなって5月、6月、特に6月入ったら急に広がりだした。7月1日に工事始まる前にがっぽり空いて道路が下がっている、下がっているということは崖がすべっているから下がっている」

松山市民
「6月下旬くらいから、陥没が少しずつ始まったように思います。心配はしておりました。天守閣の受付の方に、大雨が降るとあれは落ちますよと、お伝えしました」

こうした証言について、松山市は「2018年に緊急車両用道路が完成し、その後発生した軽微なひび割れは、その都度、補修工事を行ってきた。先月までに確認されたひび割れも経年劣化による軽微なひび割れと判断していた」と説明しました。

今月15日に現地を確認した愛媛大学の合同調査グループは「速報メモ」を公表し、現場の斜面では表面に近い層が流れる「表層崩壊」が起きたと認めた上で、「過程は非常に複雑で原因究明を科学的に行う必要がある」と指摘しました。

市は土砂崩れと工事の関係について、詳細な調査と分析を進める方針です。