岩手県大船渡市で発生した大規模山林火災では、焼損エリアで山の保水力が低下し、土砂災害のリスクが懸念されています。
こうした事態を受け、県は応急対策として沢沿いに土のうなどを積む工事を行っています。

28日は大船渡市三陸町綾里の田浜地区上の沢で、1辺20センチ前後の砕石が数百個入った「袋詰め玉石」と呼ばれる土木資材を積み上げる作業が報道陣に公開されました。

(記者リポート)
「一見、山林火災の影響は受けていないように見えるのですが、上流部に遡っていきますと、完全に山が焼け焦げてしまって、強い雨が降ると土砂災害の発生する恐れがあるということです」

大船渡市の大規模山林火災で焼損したエリアは、山の保水力の低下が懸念されていて、県は特に土砂災害の危険度が高く、住宅などへの影響が危惧される29か所で沢沿いに「袋詰め玉石」や大型土のうの設置を決めています。


田浜地区の現場では23日から重機を使って重さおよそ1トンの袋を100個以上、高さ2メートル以上に積み上げていますが、あくまで応急的な措置で、大規模な土石流が発生した場合は下流に住む住民の避難行動が必要です。

(大船渡土木センター 鈴木嘉明課長)
「万が一、土石流が起こった場合に、こちらである程度土石流の勢いを弱めまして、下流の住民の皆さまの避難の時間を十分に確保すると」

工事が行われた沢の下流に暮らす金澤寿郎さん79歳は、自分たちが暮らす土地の土砂災害リスクを肌身で感じていました。

(金澤寿郎さん)
「こうやってれば大した水は見えないですけれど、少し雨が降ると、すごく水が出るんです、ここは。心配です。常に」

応急工事は県が主体となって6月初旬の完了に向けて作業が続きます。