広島に原爆が投下されて、6日で78年になります。
 多くの人が戦争を知らない時代になる中、記憶の継承に取り組む被爆2世の小学校教諭がたどり着いたのが「お好み焼き」でした。

 千歳市立支笏湖小学校です。
 夏休み前、最後の登校日、教室に用意された大きな鉄板。
 3年生から6年生の児童6人が集まりました。
 視線の先にあるのは、広島名物の「お好み焼き」です。

 子どもたちに、ふるまっているのは、広島出身の渓口(たにぐち)正裕教諭です。
 夏休みを前に、渓口さんが子どもたちにお好み焼きを食べさせたい理由、それは、どうしても語り継ぎたい記憶があるからです。

渓口正裕さん
「(原爆投下の日)うちの母は寝坊しました。僕の母が寝坊していなければ皆さんと僕の出会いはありません」

渓口正裕さん

 渓口さんは、戦後生まれの54歳、被爆体験のある母を持つ、いわゆる「被爆2世」です。
 広島、長崎に原爆が投下されてからまもなく78年。
 かつて「2000人」と言われた道内の被爆者。
 今年の3月時点で、およそ200人と、原爆の記憶を直接語ることができる人は、年々、少なくなっています。