自分を受け入れる場所がなくなり、非行に至った
医師は、「勉強の遅れが見られる中学時代に、周囲から叱責などで自己評価が低くなり、部活もやめて自分を受け入れる場所がなくなり、非行に至ったと考える。なぜ暴力を選択したのかについては、寂しさや不安があり、それを受け止めてくれる人がいないことで怒りの感情が生まれ、暴力へつながった」としたうえで、「けんかが強いことはかっこいい、という思いがあったと思います。高校を退学後、アルバイトがどれも長く続かず、自分の居場所が欲しいという気持ちがあったが、居場所がないまま非行行動が増えていった」と述べました。
また、心理検査の結果から言えることは、「主犯格とされる男は、考え方にムラがあり、断片的に捉え、些細なことから勝手に敵意を読み取ることがある。感情の波が激しい。性格検査では、周囲に何気ないことも攻撃されていると思ってしまう。我慢の限界を超えると(感情が)表に出て、心の安定を取り戻そうと暴行へ走る(傾向にある)」などと述べました。
その上で、今回の事件の心情について総括しました。
・主犯格の男は、事件とは別の件で家庭裁判所に呼ばれたことが心配で、余計なことに関わりたくなく、仲間との無目的なドライブで緊張を緩和していた。
・しかし、トラブルに関わることが自分に期待されていることだと思った。
・仲間から、相手は年上で強いと聞き、逃げずに立ち向かうしかないかもと思った。
・会ってみると状況が違い、仲間が(相手を)間違えたのではないかという不満、最初は自分しか犯行に関与しなかったことへのいらだち、被害者とのやり取りのなかでのいらだちがあった。
・今回の被告人の暴行で重要なのが(集団と自分の境界が不明確になる)集団モード。自分の居場所が欲しい、孤立感、様々な感情で暴行がエスカレート。その場の空気に飲み込まれ、暴行を止めることが難しくなった。
30日の公判では、主犯格とされる男の母親が、証人尋問で証言する予定です。
起訴状によりますと、主犯格とされる当時18歳のアルバイトだった男は、当時17歳の少年ら男女5人と共謀し、2024年10月25日から26日にかけて、長谷知哉さん(当時20)の顔や腹部を多数殴る蹴るなど暴行。
さらに「全部出せ、全額」「クレジットカードもな」などと脅迫して暴行を加え、現金やカードなどを奪い、長谷さんを外傷性ショックで死亡させたうえ、奪ったクレジットカードでたばこなどをだまし取ったほか、キャッシュカードで現金12万7000円を引き出したなどとして、強盗致死や詐欺、窃盗などの罪に問われています。
判決は8月7日に言い渡される予定です。







