12日のような地震が起きると、その影響が気になるのが北海道電力の泊原子力発電所です。
鈴木知事は、安全性を前提に先日、再稼働の同意を表明しましたが、その背景を取材しました。
鈴木直道知事(道議会・10日)
「このたび、泊原発3号機の再稼働に同意することにします」

泊原発再稼働の同意表明から2日。
鈴木知事は、近くその思いを直接、国に伝えに行く方向で準備を進めています。
11月28日の「容認」から12月10日の「同意」まで。わずか13日間で最終結論にたどり着いた鈴木知事。その理由の一つをこう述べています。

鈴木直道知事
「電力需要の増加が想定される中、安定した電力供給が確実なものとなる。企業の方々が投資判断を行う際の予見性を高め、道内での投資促進や雇用の拡大にもつながる」

道内は今後、全国平均よりも速いスピードで人口が減るにもかかわらず、2034年度の電力の需要は今年度に比べて12%も増えると予測。全国でもトップの伸び率です。

貴田岡結衣記者
「この先にあるのが、先端半導体の量産を目指す千歳市のラピダスです。このような工場の稼働により、電力ニーズは高まるとみられています」
道内では、先端半導体の量産を目指すラピダスが再来年に量産開始。
同じ時期に苫小牧で稼働予定のソフトバンクのデータセンターも電力需要を押し上げます。そこで、求められるのが「安い電気」です。
大手10社の電気料金を比べてみると、全国で最も高い「北海道」に対し、2つの原発が既に稼働している「九州」は約26%も安いのです。

知事は、再稼働後の電気料金引き下げを見据え、企業の投資や誘致が進むと考えています。

さらに、国際的に脱炭素電源の需要が増す中で、二酸化炭素を排出しない原発の存在感も増しています。
ラピダスのお膝元。千歳市の担当者は、再稼働について安全性が大前提とした上で、こう話します。
千歳市次世代半導体拠点推進室・森周一室長
「民間の企業と会話している中で、北海道の電力が高いと。エネルギーのコスト高と言われていますから、安定供給と安価な電力の供給はポジティブに働くし、(企業を)誘致する上で有利になってくる」

元通産官僚・北海道文教大 宮本融教授
「北電と九州電力の間では、格差がだいぶ開いてしまっている。企業家の観点からすれば安いほうに越したことはない。(北電が)非常に競争力のある価格になるという意味では大きい」

これまで考えを明らかにしてこなかった鈴木知事が、今回大きく舵を切った原発の再稼働。
全国で最も新しい泊原発3号機は、27年の早い時期の再稼働を目指して、粛々と手続きが進むことになります。







