10月1日「今日ドキッ!」でお伝えした札幌市の地下歩行空間で開かれた、アイヌ民族についてのパネル展の問題です。
アイヌの当事者や研究者から差別的だと批判が上がっていますが、秋元市長はどう考えているのか記者会見で問いました。
9月16日、札幌駅前通地下歩行空間で開かれたパネル展。
アイヌが先住民族であることを否定するほか同化政策を進めた旧土人保護法を称賛し、和人がアイヌを文明化したという趣旨の内容が書かれていました。
・アイヌ近現代思想史を研究 マーク・ウィンチェスター氏
「特殊なケースをハイライトし、実際の大まかな歴史の流れを無視したデマが展示されているわけです」
9月30日、札幌アイヌ協会は歴史を歪曲した差別的な展示だとして今後、許可しないよう札幌市に要請しました。
・札幌アイヌ協会の女性
「アイヌ施策を進める札幌市としては全く逆のことをしている」
2日の札幌市長の定例記者会見…
・馬場佑里香記者
「アイヌ協会が『事実と反することだ』『ヘイトスピーチのような内容だ』と話していました。市長に見解をお聞きしたいと思います」
・札幌市 秋元克広市長
「何の見解ですか?」
・馬場佑里香記者
「パネル展の内容について問題があるかどうか」
・札幌市 秋元克広市長
「指摘する人もいるということですね。アイヌの当事者のみなさん、それから弁護士を含めた法的な立場の方々の意見を聞いていきたい。具体的な内容について、どこがどのように問題があるかを明らかにしていく必要がある」
秋元市長は、自身の見解について答えませんでした。
今月8日に開催する予定だったパネル展は中止になりましたが、秋元市長は、あくまでも申請の手続き上のミスによるものだと説明しました。
今後、同じような申請があった場合について…
・札幌市 秋元克広市長
「法的な立付けとして、明らかに違法状態、ということがなければ、施設を利用することを認めざるを得ない」
島田度弁護士はパネル展について、特定の民族を排除したり危害を加えたりすることを禁じたヘイトスピーチ解消法を適用するのはハードルがあると指摘します。
・ヘイトスピーチ問題に詳しい 島田度弁護士
「現代のレイシズムはストレートに民族をおとしめる方向では出てこない。差別されてなかったじゃないか、むしろ優遇されているじゃないかという内容の展示なので、アイヌは俺たちよりいい目を見ている、特権なんだという、現代的レイシズムを教科書通りなぞった展示。非常に悪質で問題が大きいと思っている」
共生社会をめざす札幌市が、今後どのような見解を示すのか、その中身が試されます。