脚本と演出を手がけたのは札幌市で劇団を主宰する中間真永さん

中間さんの母・金川一枝さん(2013年に死去)も真岡郵便局の電話交換手でしたが、その日は非番だったため生き延びました。

脚本・演出 中間真永さん
「(母から)『自分がそのときに出番だったら、私も一緒に青酸カリを飲んで自決していたと思う』と聞いた。一つ一つの命のドラマを考えると、どうすれば平和が訪れるのか、何か動かすことができるのかといつも考えていた」

上演の日がやって来ました。舞台「九人の乙女~氷雪の門」の幕があがります。

「はい、真岡です、町役場ですね、少々お待ちください」

戦時中の通信を担う電話交換手は当時の女性にとって花形の職業でした。

局長
「いまの樺太の状況は非常に危険です」

高石班長
「途中で投げ出すなんて、そんな身勝手なことはできません!」

電話交換手 渡辺照
「最後まで交換台を離れるなって、そう教えられてきました!」

職責を果たすと決めた彼女たちにソビエト軍が迫ります。

高石班長
「(青酸カリを手渡し)ソ連兵が攻めてきたとき、皆さんの命の尊厳と純潔を守るためのお守りとして預かっていたものです」

電話交換手 松橋みどり
「もうできることはありません。皆さん今までお世話になりました、御達者で」

電話交換手 可香谷シゲ
「これが最後です、さようなら、さようなら」


観客
「すばらしかった」

観客
「涙が止まらなくて。当時の状況を見たことはないが、思い描けるというか」