障がいを乗り越えるまで…伝えることの大切さ

 生後8か月で視覚障がいと診断された杉本さん。しかし、視覚障がいがあることは、7歳になるまで、自覚していませんでした。
「自分のピンぼけ状態が、周りの人も同じ見え方だと思っていた」と振り返ります。

 今は障がいについてオープンに話しますが、高校に入学した頃は、周囲にどう話していいか分からなかったといいます。

「私の見え方を知っている人もいないし、自分がどう助けを求めていいかわからなくて、どんどん苦しくなっていって、1か月くらいはずっと辞めたいと思っていた」

 しかし、自分の障がいを詳しく伝えることで協力してくれる人が増え、伝えることの大切さを実感したといいます。

障がいへの理解を広めたい

 そんな経験もあり、今、杉本さんが取り組んでいるのが、障がい理解を深めるための活動です。視覚支援学校の教員を11年間務めた杉本さん。2018年には、札幌で障がい理解の啓発会社を設立しました。
 障がいについて多くの人に理解してもらおうと、学校や企業で講演を行ったり、障がいを体験したりするイベントを開催しています。
 さらに、YouTubeや様々なSNSでも、私たちが知らない「弱視の世界」を、ユーモアを交えつつ明るく発信しています。
 この日、札幌・ススキノのとあるバーを訪れた杉本さん。 店内で、TikTokの生配信を行いました。この生配信も、障がい理解のための活動のひとつです。
 視聴者から寄せられるメッセージの文字を読むことができない杉本さんに代わって、店内に居合わせた客が読み上げます。
居合わせた男性客は 「こういうことが大変なんだなっていうのが、非常に共感が持てる。がんばっていると思う」と話していました。