札幌に住む杉本梢さんは、 生まれつき視覚に障害がある、いわゆる「弱視」の女性です。
 いま、障がいへの理解を深めてもらおうと、学校や企業での講演や、障害を体験するイベントを開催。 また、様々なSNSで情報を発信する「弱視ユーチューバー」の顔も持っています。どんな想いで活動しているのか、杉本さんを密着取材しました。

視覚0.02 障がいのある日常

 杉本さんの視力は0.02。 特注のコンタクトで矯正をしても、0.09までしか見えるようになりません。視界はぼやけ、真ん中の視野は欠けています。たとえば、こちらの焼肉セット。
 杉本さんの視界では、このように見えるといいます。
杉本さんの視界イメージ
 そんな杉本さんが歩くときに困るというのが、電柱。

「電柱というのは、地面と一体化してしまっているので、なかなか、はっきり見えないんですね。なのでいつも、ここら辺にあるだろうなと歩いている」
杉本さんの視界イメージ
 うっかり電柱にぶつかってしまい、まぶたの上がパンパンにはれてしまったこともあるそうです。日常生活では、弱視ゆえのさまざまな苦労もありますが、工夫を凝らしてハンデを乗り越えてきたという杉本さん。

「私の目の見え方が、近づけば近づくほど見えやすくなる構造なので、メイクは鏡に近づけるだけ近づけて進めていきます」
 また、足の爪を切るときには、こんな驚きの姿勢に。
 小さいころから体が柔らかかったという杉本さん。
 試しにこの前屈の姿勢で爪を切ってみたらうまくいったといい、今でも毎日ストレッチを続けて体の柔らかさを維持しているそうです

 また、包丁もなんなく使うことができます。
 ただ、杉本さんの視界はこのようにぼやけた状態。
杉本さんの視界イメージ
「正直言ってあんまり見えていません。感覚で切っています。よく見てください。大きさは全然保証できないです」と杉本さんは明るく笑います。