■話題呼ぶ「映画を早送りで観る人たち」


今年4月に発行されたこの本。7月の半ばまでに3万5000部の売れ行きとのこと。ヒットを飛ばしていた。

記者に「本になっているということは、“倍速視聴”から見えてくるものがそんなにもあるということだよね?」と尋ねると、「めっちゃ、おもしろいんです。ぜひ、読んでみて下さい」とのこと。

それはそうと、記者はこの稲田氏の本を手にして、地元の方々にこの質問を直接投げかけたのだった。    

「映像を早送りするのはなぜですか?」


30代会社員:「普段は倍速で見たり、2つ平行して見たりとかしています」
10代学生:「おもしろい所だけ見ればいいかなと、時間の無駄だから…」

こうした“倍速視聴”をすることに「理解できない」という人も当然いる。

■「若者に問いたい。その捻出した時間を何に使っていますか?」

50代会社員:「やっぱりリラックスして、ゆっくりと…。せめてそういうもの見る時くらい、時間作るべきだと思う。そこまでして急いで見て、その時間を何に使っているのかを若者に問いたい」と強い語気で話す男性。

そして、記者は、市内の名作映画がかかる映画館の前で、訪れた人たちにマイクを向けていた。映像の世界に一過言ある方々たちとお見受けする。

60代主婦:「面白味は半減ですよね。2倍速で見るってことは」
60代男性:「理解できないね。余韻とかいろんなものがあって、映画には監督の意図がある訳だからね・・」

筆者も当然、こっち派になるわけだが、記者はZ世代がスマホで普段どんな見方をしているのかも撮影していた。

「30分のアニメを見るときに1.5倍速にしています」という20代の女性。

彼女のお気に入りの動画配信サービス内では、視聴スピードを0.5倍速から1.5倍速まで選択可能という。なので、常に最速の1.5倍で視聴していると話していた。そのワケは!?

「1000話あるから、一から見はじめると果てしないから1.5倍で見ないと追い付かないんです」ということだった。

あの有名な海賊たちが主人公のアニメ作品の配信動画を友人に見るように勧められたのだが、1000話もあるということで、等倍速ではいつまでかかるのかわからないのだという。

彼女は、友達とアニメを話題にする際に、置いてきぼりにならないためにも一刻も早く、一つでも多く、作品を見まくる必要があるのだということだった。もちろん、細部の細部まで理解できるかというとそれは怪しいのだ。


また、10代の男性は、「10秒とばしをしまくります」とのこと。視聴する際に10秒先のシーンに飛べる機能を存分に利用するということで…

10代男性:「最初オープニングとかあるので、そこをバーっと飛ばします」
記者:「オープニングを飛ばすとは?」
10代男性:「ここ別に見なくてもいいので、飛ばします。その先の動画始まったところから見ます」
記者「それで内容理解できますか?」
10代男性:「できます」

計測すると男性は1秒間に6回を数えるスピードで画面をタップし、話の本筋とは関係ないところは、どんどん飛ばしながら視聴していた。