2023年6月2日、台風2号は東海地方各地に大雨をもたらしました。愛知県東部では線状降水帯が発生。豊橋市ではたった2日で平年の6月降水量の2倍以上の雨量となりました。

近隣の豊川市など17の河川が氾濫を起こし、床上・床下あわせて982棟の家屋が浸水。あれから約1か月が経った現地を取材し、被災地の今を追いました。

いまだに続く大雨被害、住宅だけでなく道路や生態系にも影響が

大雨当時、いたる所で車が水没し、豊川市では動かなくなった車の多くが路肩に放置されていました。およそ1か月が経ち、

道路に放置された車はなくなりましたが、周辺市町では現在も通行止めなどの規制が続き、土砂が崩れた後も舗装されずそのままになっている場所があります。

豊川市御津町では、土砂崩れや倒木で2階建ての民家が押しつぶされました。住民は被害に遭う前に避難していて無事でしたが、今も倒壊した家屋がほとんどそのままの状態で残されています。

土砂災害の危険があるため、避難指示が出されたまま、2世帯が避難を続けている状態です。

一方で、別のところにも被害がでています。

豊川の上流にある新城市の「寒狭川」。普段は穏やかですが、大雨で川の水位が急激に上がりました。

(出沢鮎滝保存会 関原俊明会長)
「なにもかも、がれきや枝も全部アユと一緒に流れた」

この地域では、川が狭まり滝のように流れる場所で、飛び跳ねながら登っていくアユを網で拾い上げる「笠網漁」が江戸時代から続いています。

6月1日に漁が解禁されましたが、一時は全くとれませんでした。5月末には元気にアユの群れが滝をのぼる様子が確認されていましたが、漁解禁の翌日があの記録的な大雨。濁流でアユが流されたと見られます。

ようやく6月20日からアユ漁が再開するも、その数は激減。普段なら10分程度で20匹はとれるところ、この日は20匹獲るのに1時間かかりました。

(笠網漁を行う人)
「全然だね。例年と比べたらほとんどとれない。ことしはこの後、(アユが)とれるかどうかわからない」