愛知が誇る農作物「大葉」が水没…被害総額は約11億円

愛知が全国シェア6割を誇る大葉にも深刻な被害が出ています。
(大葉農家・鈴木哲也さん)
「現状維持にはほど遠くて、(需要期の)大事な時期に対して出荷量も1~2割くらい減ってしまう」
6月2日の大雨で、この農家では7棟あったハウスが全て浸水。大葉や農機具などが水没し、被害総額は3000万円を超えると言います。
あれから1か月経ち、泥が付いた大葉を洗浄して育てていますが、泥水に浸かった影響で葉の形が悪くなり出荷できない事態に。
枯れたものを刈り取り新しい苗を植えましたが、大葉の需要期には生育が間に合いません。
今回の大雨での大葉の被害額は約11億円。農家は根本的な水害対策が必要だと言います。
(大葉農家・鈴木哲也さん)
「河川の改修など、洪水対策はなかなか難しいとは思うが、災害がおきないように対策を見直していただけると助かる」
うなぎ養殖池にも被害「大赤字どころか立ち直れない」

豊橋市ではうなぎの養殖も盛んですが、市川誓男さんの養殖池でも大きな被害が出ました。
(うなぎを養殖する市川誓男さん)
「こういうふうに(隙間から水が)入った。うなぎも側面から全部逃げていっちゃう」
今年は7万5000匹のうなぎの稚魚を仕入れ約3か月飼育をしていましたが、ハウスが水没し半分が逃げてしまいました。被害額は約2000万円にのぼるといいます。
うなぎの稚魚は年々獲れる量が激減し、ここ数年で空前の高値が続いています。
市川さんはコロナ禍やウクライナ侵攻による燃料・エサ代の高騰で、去年は休業していました。
今年はコロナ禍が落ち着き、お客さんが戻ってくるという期待をかけて、無理をして稚魚を仕入れましたが、この大雨で全てが台無しに…。
(豊橋うなぎを養殖・市川誓男さん)
「残っているうなぎを育てて回さないと、大赤字どころか立ち直れなくなっちゃう」
副業にしていた釣り堀も水没したため、200匹程いた鯉のほとんどが逃げ出し、こちらでも500万の被害が出ました。
行政「寄り添った対応をしたい」求められる一刻も早い決断

水産業で2500万円もの被害が出た市川さんに、行政に求める支援について聞きました。
(豊橋うなぎを養殖・市川誓男さん)
「(資金の)貸し出しではなくて、被害額の何割か補助しますよというものでないと…。“立ち直れるような補助”をしていただくことを望みたい」
今回の大雨による農業や水産業、林業の被害総額は約68億円に上っています。この事態に対し、愛知県知事は6月20日の記者会見で次のように話しました。
(愛知県・大村秀章知事)
「関係者と連携して、農業者に“寄り添った対応”をしていきたい」
「寄り添った対応」とはどのような支援なのか。今まさに深刻な被害に苦しむ現地の人々は、一刻も早い決断を待ち望む日々を送っています。
CBCテレビ「チャント!」6月28日放送より