「子どもたちにとってもチャンスだと思う」外国人が多い地区に夜間中学新設計画

2020年の国勢調査によると、国内で中学までの義務教育を終えていない人は、外国人を含め80万4293人。中でも愛知県は全国で2番目に多い約3万6000人です。県内にあるのは、名古屋市の中学夜間学級一つだけ。ビルのワンフロアを借りているため、定員は20人と少なく、給食もなし。体育や家庭科は他の学校を借りなければなりません。

こうしたことから愛知県は2025年度に、通常の学校の校舎を使った公立の夜間中学を設置する計画です。

(愛知県・大村秀章知事)
「夜間中学なので昼間の教室を転用できるので、どのように転用するか。給食施設も使える。やると決めていますので、開校時はいつだったかな…それに向けて着々とやる」

学校ができるのは、豊橋市と豊田市。県内でも外国人が多い地区です。今までは、民間のボランティア団体が勉強を教えてきました。それだけに、公立の夜間中学新設には大きな期待が寄せられています。

(外国人に学習支援する伊東浄江さん)
「学校に行けない、そもそも学籍がない子がいること自体が、見えない存在になってしまっている課題があって、夜間中学ができるのは学ぶ場所が増えるので、子どもたちにとってもチャンスだと思う」

「亡き母に卒業証書を…」「夢はキャビンアテンダント」夜間中学に通いながら抱える思い

数十年ぶりに学校に通っている北林さんと、18歳のジョイさんには、それぞれ夜間中学に通いながら抱える思いや夢があります。

北林さんは2022年の暮れ、2人暮らしだった母親を病気で亡くしました。母・春子さんは、北林さんが夜間中学に通うことに賛成し応援してくれていました。

(夜間中学に通う北林悦子さん)
「(夜間中学で)100点取ったから見せたり、すごいなと言ってくれた。寂しい感じはありますね。これお母さんが食べてたなとか、思い出すきっかけがあると寂しくなる」

学校に行けなかった自分を支え続けてくれた母親に、卒業証書を見せて中学卒業を報告したい思いが…。そして、不登校になって学校に行くという当たり前のことができなくなったからこそ、何かを頑張りたいという気持ちを持っています。

ジョイさんには、勉強して叶えたい夢があります。

(夜間中学に通うネルデン・ジョイさん)
「キャビンアテンダントになりたい。通わないと夢がかなわないから、頑張るしかない」

人生を取り戻そうと学び直す人、そして未来を拓くために学ぶ人。叶えたい夢のために今夜も、教室で机に向かいます。

CBCテレビ「チャント!」3月30日放送より