「我々は世界一の撚糸工場を狙う」福島県内の高校に足を運んで採用活動

この現状を打破するため、浅野社長は福島県内の高校に足を運び、採用活動を始めました。

(浅野撚糸・浅野雅己社長)
「11年間、誰も帰れていない。でも、そんな町がこれから復興しようと。『なんであんな所に行くの?』と言われるけど、我々同情だけでは行きません。我々は世界一の撚糸工場を狙う」

地道に採用活動を続けたところ、大卒1人と高卒5人の入社が決定。岐阜県の工場から移籍するスタッフと併せてオープンに必要な人数が、なんとか揃ったのです。
2023年2月25日、9割が完成した新工場の内覧会では住民の列ができていました。

(福島県民)
「こういう工場ができて、また人が集まるようになれば町も元の姿に戻れるではないかと思っています」

「我々がここを撤退したら大きく足を引っ張る」成功への強い覚悟

内覧会のタオルの販売コーナーでは、新入社員の高校生が汗をかく姿も見られました。

(浅野撚糸入社予定・武藤優貴さん)
「高校の授業に浅野社長が来て『双葉町を世界一の町にしたい』という強い思いに心を打たれた。その背中についていきたいと思った」

駅前には役場が戻り、2023年2月には診療所も開設されました。少しずつ住民も戻り始めています。帰還した住民からは、新しい双葉町ができることを期待する声も上がっています。

(双葉町・伊澤史朗町長)
「一番厳しい状況を経験したので、これ以上大変なことはないだろうと、変な自信につながっている。復興というよりも、新たなまちづくりをするイメージで取り組んでいる」

浅野社長も、双葉スーパーゼロミルの成功に強い意欲を燃やしています。

(浅野撚糸・浅野雅己社長)
「痛感していることは、我々がここを撤退したら双葉の復興を大きく足を引っ張る。絶対に成功させなければならない」

一旦は原発事故で死んだと思われた双葉町は復活するのか。魔法のタオルがその足掛かりとなるかもしれません。

CBCテレビ「チャント!」3月7日放送より