「死刑判決が下ってもその前に死ぬと思う」


名古屋拘置所にいる山田被告に対し、私たちは手紙や面会で何度か接触した。

抗がん剤の治療による副作用で体調が優れないと話した山田被告。

「差し戻し審」に対し「死刑に対しては受け入れようと思っているが、末期がんで、死刑の判決が下ってもその前に死ぬと思う」と思いの丈を口にした。


2023年1月30日。「差し戻し審」の公判が名古屋地裁で始まった。

面会時には松葉杖を使って歩いた山田被告だが、この日以降の裁判ではずっと車いすに座っていた。

裁判の冒頭、「強盗殺人」の起訴内容について問われると「弁護士さんにお任せします」と短く答えた。

「差し戻し審」では何が行われているのか?


その後の「差し戻し審」の裁判。

法廷では、一審(差し戻し前)時の山田被告への質問や証人尋問の様子がVTRで映し出された。

法廷内にいる全員がモニターを長時間ずっと眺め続けるという、少々不思議な空間だと感じた。


差し戻し前の法廷でどんな話をしていたのか把握をした上で、2月8日に改めて山田被告への質問が行われた。

一審(差し戻し前)の審理が行われたのは4年前。当時の鮮明な記憶は薄れていると思われる状態で、検察側・弁護側双方から様々な質問がされていく。

車いすに座った山田被告は、質問に対し時に語気を強めながら答えていく。

検察側・弁護側ともに一審(差し戻し前)と主張が変わらないこともあるが、山田被告の回答に以前と大きく異なるような箇所は特に見当たらないように感じられた。

争点となっている「強盗目的」はあったのか?

被告人質問を含むこれまでの裁判などから、事件発生当日の状況や山田被告の行動を追った。