戦後80年企画の取材中に出会った名古屋市に住む長澤春男さん(100)。2年前に初めて会った時は98歳で、一人でどこにでも出かけるほど足腰も元気だった。しかし、年齢には抗えず、ここ1年ほどで体力的にも衰えたと感じる。たまにしか会わないから、余計にそう感じるのかもしれない。彼の記憶が薄れる前に、消えてしまう前に…記録を留めたい。

春男さんは、強制労働に耐えながら、独学でロシア語を学び、中隊長にまで昇進し、その後にロシア人女性からプロポーズされた。

これは敵国でもあったロシア人女性、クリスタル・ターニャとの禁断の恋のエピソードでもある。戦後80年、自身もこれまで80年間封印してきた逸話というが、本人の許しを得て、ここに解禁する。知られざるシベリア抑留体験記として。