「恥ずかしながら、生きながらえておりました」

ふるさとの人も帰国を見守っていました。

「歓迎のアーチもこの千音寺、横井さんの住んでいらっしゃる町内の東ノ割部落という40戸ほどの部落ですが、総出で作りました」

男性の名は、横井庄一さん当時56歳。出征前は洋服の仕立てを生業にしていました。ようやく終わった横井さんの戦争。この日の会見で発した一言は流行語に。

(グアム島に28年潜伏 横井庄一さん)
「恥ずかしながら、生きながらえておりました」

(20代)「なんか聞いたことある」
(60代)「世の中では、戦争が終わったとなっていたけど、横井さんが帰国したことで本当の意味で戦争は終わっていなかったと」

(横井庄一さん)
「最終的には…10名になり、5名になり、3名になり…だんだんと(仲間が)減っていった」

28年のジャングル生活のうち、最後の8年はひとりぼっち。帰国後は講演活動にひっぱりだこでした。

そばには、帰国した年に見合い結婚した13歳年下の妻・美保子さん(当時44歳)が寄り添っていました。

ジャングル生活は過酷。地面に小さな穴を掘って身を隠し、食事は川エビやネズミ、蛙などの小動物、主食はソテツの実をすりつぶし団子状にしたもの。服は木の繊維をはいで編み込んだ手作り。なぜ、潜伏しつづけていたのか。

「戦争が終わったとはっきりわからなかった。10年たったら、日本軍が盛り返して、救いの手が来ると。20年たてば来るだろう。そういう計算をしていた」