「コメを出し渋っている業者」は実在する?

先行きにあまり期待のできない現状の中、私は最新のスーパーのコメ販売価格を見ながら、ある疑問を抱いた。それは政府の言う「コメを抱え出し渋っている業者」は実在するのか?という疑問だ。

最新のデータでは2月17日から23日までのコメ5キロの販売価格は3939円だったが、実はそれ以前の2月14日には、政府が備蓄米の詳しい内容を公表していたのだ。

つまり、政府が言う通り「出し渋っている業者」がいれば、備蓄米の放出を見据えて、コメを今の高値で売っていてもおかしくない。

しかし、実際は思ったほど市場にコメは出回らず、コメ不足は解消されず、むしろ価格は上昇に転じたのだ。

政府の備蓄米の観測気球は、残念ながら当てが外れたと言わざるを得ないだろう。

では、集荷や卸売りなどの業者はコメを持っていないのか?実際は持ってはいるが、先を見越してストックしているのだと言う。

実は、去年はすでに春からコメ不足が始まり、夏までには枯渇していた業者が多く、契約している取引先にコメを渡せなかった業者もいた。

その反省も踏まえて、今年は契約している取引先の分は残して、その時に備えているのだという。

これは、出し渋っているというより、去年と同じ轍を踏まないようにリスクヘッジをしているともいえる。

端的に言えば、倉庫にコメはあるが、いま市場に出せるようなコメはないのだ。