「社会人野球の象徴として…」
私は、12月8日(日)に放送される、社会人野球に人生をかけた佐竹さんに密着したドキュメンタリー「プロ野球じゃないとダメですか? ~トヨタ自動車 佐竹功年~」のディレクターを担当している。
6月の取材の後、佐竹さんの引退試合となる都市対抗野球大会、そして引退後のアメリカでの様子を取材し、佐竹さんの気さくな人柄がわかる場面に何度も出くわした。
最も印象的だったのが、東京ドームで行われた都市対抗1回戦の試合終了後のこと。劇的なサヨナラ勝利を飾ったトヨタ自動車、その流れを呼び込んだのは、直前にピンチを脱した佐竹さんの投球だったに違いない。ミスター社会人野球とも呼ばれていた佐竹さん、試合後の関係者入り口には、サインを求める多くのファンが殺到していた。これはプロ野球の沖縄キャンプなどではよく見る一コマ。
普段はサンデードラゴンズの取材をしている私。これはあくまで個人的な感想だが、サインに応じる選手を見ると心の底から応援したくなる。それは私自身の経験もある、サインをもらった喜びは生涯忘れることのない記憶として深く刻まれるからだ。

そんなことを思いながら佐竹さんの対応を見ていたが、これが圧巻だった。試合終了から1時間以上が経過し、時刻は午後10時を回っていたと思う。佐竹さんは集まったすべての人にサインを書き、時には写真撮影にも応じ、疲れた顔を見せる事なく東京ドームを後にした。こういうところも含めて“ミスター社会人野球”なんだと思った出来事だった。

社会人野球も、応援してくれる人たちがいるから成り立っている面はある。佐竹さんは「社会人野球を盛り上げたい」とずっと口にしてきた。ファンを大切にしてきた佐竹さんなら、きっとその目標を叶える日が来るはずだ。
「あっ、しまった!俺、まだサインしてもらってないじゃん!」これを書きながらふと気づいた私である。
【CBCテレビスポーツ部・上原大輝】
入社5年目「サンデードラゴンズ」ディレクター