2メートルの「土壁」がなくなった…

700年近い歴史を持つ多度大社の上げ馬神事はこれまで、境内の坂を上がったさらにその上に、高さおよそ2メートルの「土壁」を作り、馬が土壁を越えた回数によって、その年の「豊作や景気を占う」とされてきました。

しかし、コロナ禍を経て4年ぶりに行われた去年の神事で、骨折した馬が殺処分されたことなどが「動物虐待」にあたると批判の声が相次ぎました。

(多度大社 平野直裕権宮司 2月22日)
「時代にあった神事に改革しなければならないと、思いを新たにした」

そこで多度大社は、「馬の安全が第一」という新たな方針に舵を切ります。ことし2月には、土壁をなくして上り坂も緩やかにするなどの改善策を発表。


4日・5日の神事では、登場した9頭すべての馬が、土壁のない坂をけがなく駆け上がりました。これまであった「豊作や景気を占う」という神事の意味合い自体が変わってしまったかのようで、この新たな上げ馬神事に見物客は。

(見物客)
「迫力はやっぱり毎年来ているので、いつもよりかは欠けているかと思うが、お祭りの雰囲気は変わらずあったので、お祭りがある限り見にきた」
「伝統の形が変わるのは寂しいが、時代とともに変わっていくと思う。安全な方が見る方としては安心」
「去年までの坂で迫力がある方がよかった」