「みんなの前で言われたら恥ずかしいよ」と園児が言えれば…

杉村保育園で披露された人形劇を作ったのは、普段、虐待相談を受け付けている名古屋市内の団体です。

(青少年養育支援センター陽氣会 松原悟さん)
「園児たちが大好きな先生に対して『僕それは恥ずかしいからイヤだ』と言うことで、園の雰囲気が変わって児童虐待が少しでも減ればと思う」

松原さんがこれまで、子どもの虐待で相談者に面会したのは400回あまり。

保護者による虐待も、保育士などによる「不適切保育」も、共通点があるといいます。

(青少年養育支援センター陽氣会 松原悟さん)
「先生たちは一生懸命。虐待したいと思ってしている先生はいない。人の面(保育や子育て)の大変さで思わず虐待してしまう」

保育士が不真面目だから「不適切保育」が生まれるというわけではないと話します。

今回披露された人形劇「先生のこと大好きなのに」では、「うさぎ」の先生が「くま」の園児をほかの多くの園児の前で叱るシーンがあります。

(人形劇)
(うさぎ先生)
「もっと遊びたいのはみんなも同じだよ!約束の時間がきたのに遊んでるから、ボールが木にひっかかったんでしょ!」
(くまの園児)
「ごめんなさい…えーん」

この場面の意図は、1人の園児をみんなの前で叱るより、個別に対話しながら諭したほうが効果的だということ。

(園児)
「(くまの園児が)かわいそうだった」「いやだよ、みんなの前で怒られるのは」

人形劇が終わると松原さんは、同じようなことが保育園であった時にどう言えばいいのかを園児たちに伝えます。

(松原さん)
「こんなことやっちゃダメでしょ!」
(園児)
「先生、みんなの前で言われたら恥ずかしいよ」

保育の現場のみなさんの「危機感」を感じた人形劇でもありました。