わずかに残った皮膚を培養し、移植を繰り返すという綱渡りの治療はおよそ4か月にわたり、被告は一命を取り留めました。

「自分たちが全力で治療、救命した、その理由というのは彼には理解できているのではないかと思っています。それが失望にならないように願っています」。
裁判前、こう話していた上田医師は、きょうの判決をどう受け止めたのでしょうか。

上田敬博 医師
「裁判初日が一番注目でした。何も語らない、ずっと黙秘で通す可能性も十分考えられたので、自分の言葉で答弁するかどうかというところには注目をしていました。話の内容は置いておいて、黙秘しなくてよかったなと思っています。
治療してからだいぶ経ちますけども、司法の場に立たせるために全力を尽くして、事件から4年、ようやくきょう判決に至ったということで、結果の内容に関して云々ではなくて、主治医、治療団として、少し安堵の思いというか、やっとこれで治療が終わったのかなというふうに思っています」

「被告の生い立ちや境遇、犯行に至った経緯に関しては、治療中は一切事件に触れることはできなかったので、裁判で初めて知ったことが多かったです。
そういうことが裁判で明るみになって、やはり、裁判に出すことができて良かったなと思っています。
これが、もし今助かってなければ、このようなやり取りもありませんし、判決すらない、裁判すら始まっていませんので、やはり犯罪を犯した人の容疑者の治療をするということは非常に大事だなと感じました」