自転車に乗る際、着用が努力義務化されたヘルメット。しかし、着用していない人も多くみられます。
こうした中、事故分析の専門家は、自転車に乗っている人が事故にあった際、ある共通した行動を取ることからヘルメット着用の必要性を強く訴えています。

キャスター 木嶋雄大
「下校時間になり、高校生が続々と自転車で帰宅し始めています。6割の生徒が自転車通学をしているということです」

鳥取県米子市の米子高校。
自転車通学の生徒が多く、運転している時危険を感じたことがあるという声が聞かれました。

高校生
「車より自転車の方が危ない気がする。車との接触よりも自転車同士の方が(危ない)」
高校生
「自転車同士接触したことある」

こうした中、21日に鳥取市で行われた警察による自転車の指導取締り。
取材中、自転車かごに入れているのにヘルメットをかぶらない高校生の姿が多く見られました。

鳥取市では、20日に鳥取大学の構内で大学生が運転する自転車同士が衝突し、女子大学生1人が重体となる事故が起きたばかり。
現場付近にはヘルメットが見当たらなかったということです。

自転車による事故の恐ろしさ。それを教えてくれるのは、全国で事故防止のセミナーなどを行っている会社の代表・上西一美さん。
これまで約3万件の交通事故映像を分析してきましたが、自転車事故にはある共通点があると指摘します。

ディ・クリエイト 上西一美社長
「かなりの確率でハンドルを握ったまま転倒している方が多いんですね。人の習性だと思うんですけど、転倒するとき、通常は、受け身を取ろうとしたり、頭や体をかばったりすると思うんですが、(ハンドルに)しがみつくというか、強く握ってしまうというのをとっさにしてしまう人が多いんじゃないかなと思いますね」

上西さんに提供頂いた車と自転車の事故をとらえたドライブレコーダーの映像を見ると…。自転車に乗っていた人はハンドルをつかんだまま倒れていました。

上西さんによると、自転車事故では、転倒する時、反射的に強くハンドルを握り続けてしまい、受け身を取ることなくそのまま頭などを強く打つケースが多いということです。

一方、自転車事故が起きやすい時期があると言います。

ディ・クリエイト 上西一美社長
「5月、特に6月ですね、自転車の事故が増えるというか。特に学生の方が亡くなる事故が多いと言われていますね。緊張感がちょうど無くなってくるのが6月ぐらいなんだろうなと思いますね。(通りなれた道で)事故に遭わなかったという成功体験が増えると、危険感受性が下がっていくんですね」

入学後、自転車通学を始めた当初は誰しも慎重になりますが、通学路に慣れてきた1、2か月後となると、緊張感が薄れ、飛び出したりスピードを出しすぎたりして事故に遭うケースが多いといいます。

こうした中、万一事故にあった時、命を守ってくれるのがヘルメットです。

ディ・クリエイト 上西一美社長
「(けがを防ぐ第一は)ヘルメットの着用だと思います。(未着用は、着用時に比べて)死亡率が2.4倍上がると言われてますので、ヘルメットを着用しないというのは、もう自殺行為じゃないかなと思います」

ヘルメットの着用、そして、基本的な交通ルールの順守。
体がむき出しの自転車だからこそ、その危険性を改めて認識する必要があります。