9月20日は彼岸の入り。
お供え物には地域ごとの特徴がありますが、島根県東部から鳥取県にまたがる地域で、彼岸や盆の時期に販売される、ある変わったネーミングのまんじゅうがあるのをご存知でしょうか?
島根県安来市広瀬町の瀬尻製パン店。
蒸し器から取り出されたばかりの湯気を上げるまんじゅうに、色粉で素早く模様を描きます。
社長の瀬尻正人さんは、この地方独特の法事パン「出雲まんずっ」を長年作り続けています。
瀬尻製パン店 瀬尻正人社長
「今年で60歳なんですけども、生まれた時もう作っていたんで、半世紀以上はうちの店で作り続けてます」
様々なパンを作るかたわら、彼岸や盆の時期に1日最大780個ほど作るという「出雲まんずっ」。
まんじゅうの生地に1つ1つ餡を包み、蒸すのも2回とかなり手間がかかります。
表面の模様はハスで、仏壇に並べた時単調にならないよう色合いを変えています。
ところで、1つ気になるのは、小さい「つ」で終わる不思議な名前。
その由来を尋ねると…。
瀬尻製パン店 瀬尻正人社長
「うちみたいな小さい所は、地元の人に親しまれるパン屋さんでないといけない。出雲弁を使ったブランド化じゃないですけど、出したいという意味で、田舎っぽく、出雲まんずっていう風に」
地元の人に親しまれるように出雲弁を文字で表したとのこと。
最近ではお供え用としてだけでなく、手に取る人がいるといいます。
瀬尻製パン店 瀬尻正人社長
「20代の女性とかがインスタ映えじゃないですけど、買っていただいて」
新たな客層も獲得しつつある「出雲まんずっ」。
地元の人が喜んでくれる限り作り続けていきたいと話す瀬尻さんは、きょうも「まんずっ」を包みます。