早川書房 造本担当者
「あえて採用している理由としては、文庫のオリジナル、当初の形をいまに受け継ぐため。紙の束で雰囲気を表現したいというのが大きいです。
ただ、非常に難しいところもあります。不揃いでガタガタになっているんですけれども、これが不揃いすぎても良くないんです。
通常本というのは、1枚の紙に複数のページを印刷したものを何度も折って、そして周りを切って、ページが開く本の形にしています。
『天アンカット』の場合、上だけ切らないので、帳尻が合わせられないんです。綺麗に折らないとガタガタになりすぎでしまうので、我々がお仕事させていただいてる製本所の方は非常に技術力を持っている。だからこそできる。あとは、余分な紙を切りおとさないので、少しエコだっていうことは言えるとは思います。」

