早川書房 造本担当者
「本は元々、紙の束を綴じて本にしたという経緯がありますので、周りが綺麗に切り揃えられたものではないんです。文庫の先駆け的な存在である岩波文庫も、この本の上の部分『天』を切り揃えない手法を採用しました。

我々、早川書房の早川文庫もその伝統を受け継いで、上の部分『天』は切り揃えないで商品として出しております。

『天アンカット』という名称で呼んでおり、それ以外のものは綴じてあるところ以外の三方を裁っているので、『三方裁ち』という名称で呼んでおります。」

本の上部分は「天」。ちなみに、反対側の本の下部分は「地」。
本を束ねている部分は「背」、反対側の本を開く側は「小口」と呼ばれています。

「天」・「地」・「小口」をキレイに切りそろえているのが「三方裁ち」。
そして「天」を不ぞろいにしているのは実は意図的で、「天アンカット」と呼ばれるということです。

「三方裁ち」だと全部キレイになるのに、なぜ天だけはカットしない「天アンカット」を採用しているのでしょうか。